F1、水しぶき問題対策として”ホイールアーチ”の導入を検討
ウェットレースの際の水しぶきを抑制してドライバーの視認性を向上させるために、国際自動車連盟(FIA)は車体パッケージの研究に着手したことを明らかにした。具体的な解決策としては、ホイールアーチ状の標準パーツの採用が検討されている。
鈴鹿サーキットで行われた2022年のF1日本GPは雨に見舞われ、2時間もの赤旗中断を余儀なくされた。マックス・フェルスタッペンは雨用タイヤの性能改善が必要だと訴え、シャルル・ルクレールは水しぶきによる視界不良が赤旗の原因になっていると指摘した。
これを受け、ヘッド・オブ・カーレーシングとしてピレリF1の現場を統括するマリオ・イゾラは、水しぶきに関してはベンチュリー効果を活用するマシン側に依るところが大きいとして、タイヤのみで解決する事は難しいとの認識を示した。
今シーズンから導入された新しいグランドエフェクトカーは後方車両への乱気流の影響を低減すべく、これをより上空へと追いやるように設計されている。
F1アブダビGPの初日にヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1コミッションでは、ドライバーからのフィードバックを受け、ウェットコンディションでの走行時に発生する水しぶきを抑制するためのパッケージ研究に関する現在の状況が報告された。
具体的なソリューションとしては、タイヤとホイールを覆う事で巻き上げられる水の量を物理的に制限する”ホイールアーチ”形状のパーツが検討されている。エクストリーム・ウェットタイヤの装着が必要な状況下でのみ車体に取り付ける事を想定しているようだ。
FIAによるとサイズは最小限に抑え、ピットストップ時のタイヤ交換への影響を抑える事を念頭に検討を進めていくという。
まだ開始されたばかりの研究であるため、仮に効果的な対策だと結論付けられたとしても、導入は早くとも2024年以降になるものと思われる。FIAは来年、本研究に関する更なる報告を行うとしている。
なおFIAとFOMは2024年にタイヤウォーマーを廃止することを目標としているが、F1コミッションは最終決定を2023年7月まで延期する事を決定した。