上海インターナショナル・サーキット
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F1中国GP:開催は絶望的か…上海、新型ウイルス拡大受け 全スポーツイベントを中止

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4月に予定されているF1中国GPの開催が絶望的な状況となった。上海スポーツ連盟は2月3日、新型コロナウイルスの感染拡大を効果的に防止・抑制するためのガイドラインを発表した。この中で同連盟は、流行が収束するまで一切のスポーツイベントを中止すると宣言した。

2020年シーズンの中国GPは、F1世界選手権第4戦として4月19日に上海インターナショナル・サーキットで決勝レースが行われる予定だが、武漢市を発祥とする新型コロナウイルスは、中国国内を中心として猛威を振るっており、収束の見通しは立っていない。

世界保健機関(WHO)は4日、新型コロナウイルスについて、現時点ではパンデミックとは言えないとの見解を示し、感染拡大は食い止められるとの期待を口にしたが、厚生労働省の5日の発表によると、全世界における感染者数は2万4535人、死亡者数は492人に上っており、日を追う毎に勢いを増している事が伺える。

中国国内では既に、3月中旬の南京での世界室内選手権や、2月上旬に杭州で予定されていたアジア室内選手権のほか、3月21日のフォーミュラE選手権三亜ePrixなどのスポーツイベントが、中止または延期に追い込まれている。

F1中国GPまではあと9週間以上の猶予が残されているが、上海スポーツ連盟の今回の声明は、F1及び商業権利者のリバティ・メディア、そしてグランプリの現地プロモーターに対して決断を促す圧力となったようだ。

F1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)とF1、そしてチームの代表者らで構成されるF1ストラテジーグループは、この問題を5日の会合の議題として取り上げ、議論を交わしたものとみられている。現時点では如何なる発表もないが、F1がグランプリ中止を発表するのは時間の問題と言えそうだ。

WHOの31日の緊急事態宣言以降、各国は渡航制限を強化しており、中国に入国したら最後、出国できない可能性が高まっている。また、F1チームのうちの7割が本拠を構えるイギリスの外務省は、感染リスクが高い中国への不必要な渡航を取り止めるようにとの勧告を発し、ブリティッシュ・エアウェイズ等の主要航空便が中国本土への欠航を決めている。

今年初開催を迎えるF1ベトナムGPに対する懸念も高まっている。舞台となる首都ハノイは、フォーミュラEのレース延期が発表された三亜から直線で300km足らずの距離に位置している。

ベトナム国内ではこれまでに10件の症例が確認されており、3日には中国国外で初となる死者が確認された。現地保健当局は国境を接する中国からの流入者への対応策として、ハノイ市内の2つの軍事施設を検疫センターとして転用する方針を示している。

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