2019年F1中国GPでウィリアムズを追いかけるトロロッソ・ホンダのアレックス・アルボン
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開催危惧されるF1中国GP…FIA国際自連、コロナウィルス対策を準備「”あらゆる”必要措置講じる」

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中国湖北省武漢市を中心として新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は30日、F1中国GPを含めた今後開催予定の国際レースにおいて、人命保護と観戦拡大防止の観点から必要とされる”あらゆる”措置を講じていくとの声明を発表した。

世界的拡大、上海でも対策進む

2020年F1中国GPは、シーズン第4戦として4月19日に上海インターナショナル・サーキットで決勝レースが行われる予定となっているが、新型ウイルスの感染はチベット自治区を含めた本土全域に及んでいる。

上海市当局は24日に最大レベルの警告に相当する警戒を発令。各種大型イベントの取り止めのほか、ディズニーランドなどの主要観光施設の営業中止が決定した。また流行の拡大を防ぐため、鉄道、空港、湾港などの各種交通機関での検査及び検疫が強化され、省を超える長距離バスの運行が停止されている。

状況が明らかになるにつれ感染症例は急激に増えている。中華人民共和国国家衛生健康委員会は30日、新型コロナウイルスによる死亡者が170人に達し、感染者が7711人に上ったと発表。中国以外での感染者数も増加の一途を辿っており、現在判明している時点で世界19カ国で症例が確認されているが、今後更なる拡大が予想される。

どうなるF1中国GP? 相次ぐ世界大会の延期と中止

このような状況の中、FIAは声明の中で「今年初めに中国で発生したコロナウイルスの流行を受け、我々はFIAは、FIA医療委員会のジェラール・サイラント教授会長の指揮の下、関係当局および加盟団体と協力しながら状況の進展を綿密に監視している。我々は今後開催されるレースの日程を評価しつつ、世界のモータースポーツ・コミュニティと一般市民を保護するために、必要に応じて必要な措置を講じる構えだ」と述べ、対策を進めている事を明らかにした。

また、F1の商業権を持つ米リバティ・メディアは「外務省との協議やアドバイスを踏まえながら、関連機関と密接に連携しながら事態の推移を見守っている」としている。

FIAはF1世界選手権以外にも、ル・マン24時間レースを含む世界耐久選手権(WEC)シリーズの他、世界ラリー選手権(WRC)、世界ラリークロス選手権などを管轄しており、これらのレースにも中止や延期を含めたなんらかの影響が及ぶ可能性がある。

すでに国際的なスポーツ大会への影響は出始めている。世界陸上連盟は先日、3月13日から15日まで開催される予定であった南京での世界室内選手権の延期を決定した。開催地の変更も検討されたが、世界保健機関(WHO)と協議も踏まえて2021年3月の延長を決断。2月12日・13日に杭州で計画されていたアジア室内選手権も中止となっている。

モータースポーツ関連としては、フォーミュラEの三亜ePrixが3月21日に開催される予定だが、現時点では中止・延期の決定は下されておらず、フォーミュラE側は「注視している」と述べるに留めている。ただし三亜ePrixは、本土から遠く離れた南部の島で開催されるため、上海とは状況がかなり異なる点に注意が必要だ。

FIA及びF1は、損失を最小限に抑えるために可能な限り中国でのグランプリ開催を実現させたい意向だが、世界貿易機関(WHO)が緊急事態宣言を発令するような状況にでもなれば、決行はかなり厳しいものとなる事が予想される。

F1中国GPはベトナムとオランダの各グランプリ間に位置しており、実際にキャンセルされることになると、第3ラウンドと第4ラウンドの間の4週間がすっぽり抜け落ちる事になる。

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