バーレーン・インターナショナル・サーキットのパドック
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F1、ウイルスの影響で1チームでも入国が制限されればレース中止

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F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、新型コロナウイルスによる入国制限によって欠場を強いられたF1チームが出た場合の方針を発表し、例え1チームでもレースが出来なければグランプリを中止する考えを示した。

F1サーカスは3月15日の開幕オーストラリアGPを10日後に控えているが、第2戦と第3戦のホスト国であるバーレーンとベトナムが相次いで渡航制限を強化した事で、感染が流行しているイタリアや日本関連のチームの欠場への懸念が高まっている。

いずれの現地プロモーターも、現時点では予定通りにグランプリを開催するとの方向性を示しているが、F1と国際自動車連盟(FIA)はどのような場合にレースが中止されるのかという原理原則を明らかにしておらず、開幕3戦を巡っては不透明な情勢が続いていた。

このような状況のなかロス・ブラウンは3日(火)、ロイター通信とのインタビューの中で「もしチームの入国が妨げられるのであれば、我々はレースをする事はできない。(欠場チームがいる状況でのレースは)F1世界選手権とは言えないし不公平だ」と述べ、入国制限によって出走できないチームが出た場合は、レースを中止する考えを明らかにした。

「もちろん、チーム自身が自らレースに参加しないことを選択した場合はチームの決定だが、国の決定でチームがレースに出られない場合、それは公正な競争とは言い難い」

これにより一定の方向性が示された形ではあるが、「チームの入国が妨げられる」という状況の詳細は明らかにされておらず、例えばレースエンジニア一人だけがウイルスを原因として入国できなかった場合にどうなるのかは分からない。

F1はパドックの人数を最小限に抑えるべく、チーム側に対して派遣スタッフの数を抑えるよう求めている他、イタリアからの入国者に対し14日間の検疫義務を課しているバーレーン向けの対策として、開幕戦終了後に直行便をチャーターして、直接現地入りするシナリオを描くなどしている。

仮に幾つかのチームが現地入りして、週末のイベントが始まる直前に中止あるいは延期が決定された場合は、チャンピオンシップと切り離した独立レースとしてレースが開催される可能性もあり得るが、この場合は当然選手権ポイントの対象とはならない。

ロス・ブラウンは目下、オーストラリアやベトナム、バーレーンの当局や現地関連機関と密接に連携して開催に向けた努力を重ねている事を強調する一方で、新型コロナウイルスを巡る状況は「日毎に変化」しており「過小評価はできない」として、レースを開催する場合は「責任ある方法」で行う必要があると述べ、中止と延期への含みを残した。