グリッドガール
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グリッドガールを廃止したF1、代替に「グリッドキッズ」社会規範よりも商業利益を優先した経営判断

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FIA国際自動車連盟とF1を所有する米リバティ・メディアは5日、グリッドガールの代替として「グリッドキッズ」を導入する事を明らかにした。各グランプリ主催者とFIA認定のスポーツ機関(ASN)の監修の元、将来のF1ドライバーを志す若き子ども達に、スターティンググリッドにつくチャンスが与えられる。

既に特定のモータースポーツクラブに所属しているか、カートやジュニア・フォーミュラでレースをしている若者の中から、成績や貢献度に応じて、もしくは抽選によって選出される。選ばれた子供達は、レース前のグリッドでブラックアウトに向けて準備を行うスタードライバー達の脇に立つ。

グリッドキッズはF1だけでなく、F2やGP3等、FIAが監督する主要カテゴリでも採用される。また、同伴する家族には日曜のレースパドックが与えられる。

先月F1は、社会規範及びF1のブランド価値にそぐわないとして、長年の風習であったグリッドガール廃止を決定した。これに対しては賛否両論が飛び交う形となったが、LGBT認知の流れも相まって、合理的な理由なく特定の性別者のみ限定許可される職業は徐々にその姿を消しつつある。

スポーツや芸能の世界が継続的に成長していくためには、ファンや将来のスター候補を育む構造が必要不可欠。グリッドガール廃止に代えてグリッドキッズ導入に至った背景には、社会規範云々以上に商業的利益を最優先する投資会社リバティ・メディアの経営判断があったものとみられる。F1の商業面を司るショーン・ブラッチズは、トップレーサーを目指す子ども達の大きなインセンティブになるとして、グリッドキッズ採用を歓迎する声明を発表した。

「若者にとって特別な時間になることでしょう。モータースポーツのエリートであり彼らのヒーローであるF1ドライバーが、スタート直前にレースに向けて準備するその貴重な数分間を共に共有する事になるのです。忘れられない経験になることでしょう」

「目指す夢の現実を目の当たりにすることで、その後の彼らがトレーニングやドライビング等、学習を続けていく上で大きな刺激となることでしょう。次の世代のF1ヒーローにインスピレーションを与える素晴らしい方法だと思います」

FIA会長を務めるジャン・トッドは、グリッドキッズ採用はF1の下部構造の強化に寄与すると主張。シングルシーターのヒエラルキー強化と確立を目論むFIAは昨年、GP2シリーズをF2に改称、また、スーパーライセンスポイントの配分をピラミッド構造に沿う形で見直しを行う等の改革を進めている。

「F1はモータースポーツ及びFIAシングルシーターピラミッドの頂点に君臨しています。F1は下部のジュニアシリーズで切磋琢磨している全ての若手レーサーの夢なのです。将来のF1チャンピオン候補に、彼らのヒーローの隣に立つ機会を与えてあげられる事を嬉しく思います」