フロントウイング翼端板、18インチタイヤ・ホイールカバー、メルセデスの2022年型F1マシン「W13」の細部レンダリング
Courtesy Of Daimler AG

18から16へ? 2026年F1規定、ホイールのインチダウンの可能性

  • Published: Updated:

次世代F1パワーユニット(PU)が導入される2026年に、車体の軽量化の一環として現行の18チンチから16インチへと、ホイールのインチダウンが行われる可能性を指摘する声が上がっている。

MGU-Hを廃した最新世代のPUの重量は少なくとも23%アップの193kgに増加する。何も対策を打たない場合、マシンの総重量は800kgを大きく上回る事となり、クルマの俊敏性が損なわれるだけではく、レッドブルが懸念を表明していたデプロイメント切れのリスクも増大する。

ローンチカラーが施されたアウディF1のショーカー (3)Courtesy Of Audi

ローンチカラーが施されたアウディF1のショーカー (3)

このような状況を背景にFIAは現在、50kgの軽量化目標を設定し、その第一弾として20kgを減らすべく車体のコンパクト化に取り組んでいる。

伝えられるところによると車幅は2,000mmセンチから1,900mmへと100mm縮小され、ホイールベースも3,600mmから3,400mmへと200mm近く短くなる可能性がある。

ただしこれだけでは総目標値を達成する事は難しい。そこで英「AUTOSPORT」が指摘しているのがホイールのインチダウンだ。

ホイールの軽量化を検討する上では、リム幅、つまりホイール内側の側面から外側の側面までの横幅を小さくする方法が考えられるが、この場合、タイヤと路面の接地面積の減少によってメカニカルグリップが低下し、コーナリング・パフォーマンスが低下してしまうという問題がある。

よって、14kg増と推定されるグランドエフェクトカーの導入と共に採用された現行18インチのリム径、つまりホイールの直径を小さくする方法が現実的で、AUTOSPORTは「2021年以前の13インチホイールに戻ることはないと考えられている。妥協案としては16インチが考えられる」と伝えている。

「NEXT YEAR I TURN 18」の特別なメッセージがサイドウォールに描かれたピレリ製最後の13インチF1タイヤと2022年導入の18インチタイヤ、2021年12月9日F1アブダビGPヤス・マリーナ・サーキットにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

「NEXT YEAR I TURN 18」の特別なメッセージがサイドウォールに描かれたピレリ製最後の13インチF1タイヤと2022年導入の18インチタイヤ、2021年12月9日F1アブダビGPヤス・マリーナ・サーキットにて

他にはギアボックスのギア数を減らす方法や、マシンの最低重量規定を撤廃する方法が指摘されている。

現行マシンの最低重量(燃料を除く)は798kgに設定されている。現行のルールではこれを下回った場合、技術規定違反となるため、798kg以下のクルマを持つチームは意図的に重量を上げるべくバラストを搭載する。

グランドエフェクトカー時代のF1マシンがカーボン剥き出し傾向にあるのは、塗装による僅かな重量増を嫌ってのことであり、軽量化はパフォーマンス追求の王道だ。

もし最低重量規定が撤廃、あるいは大きく引き下げられれば、各チームは血眼になってその方法を模索する事になる。競争原理を利用するというわけだ。

過去20年で増加したF1マシンの重量約200kgのうち、35kgはホイールの大口径化と車体の大型化によるものであるため、この数値をクリアするのは簡単とは言わないまでも不可能ではないだろうが、それでもFIAが掲げる最終目標の50kgには届かない。