アウディのF1ローンチカラーを施したショーカー
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知られざる2026年のF1車体規定、小型化によりダウンフォース40%減との試算…その影響は

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次世代F1パワーユニット(PU)の仕様が広く知られている一方、2026年の車体レギュレーションはまだ明らかにされておらず詳細は不明だが、軽量化を目的とする小型化によりダウンフォースが約40%減少するとの試算が出てきた。

電動化へと突き進む市販車市場を背景にF1はホンダ、メルセデス、フェラーリ、ルノー、レッドブル・フォード、アウディがPUサプライヤーとしての参戦を表明している2026年に、排ガスを回生するMGU-Hを取り去りながらも、PUにおける電動パワー比率を現行の約2割から5割へと引き上げる新たな規定を導入する。

アウディCEOのマルクス・ドゥスマン、2023年4月18日上海オートショーにてCourtesy Of AUDI AG

アウディCEOのマルクス・ドゥスマン、2023年4月18日上海オートショーにて

100%持続可能な燃料を使用するICE(内燃エンジン)に関しては現行の1.6リッター・ターボが継続されるものの、MGU-Kは120kWから350kW、つまり約476馬力へと3倍近い出力に引き上げられる。これによりシステム全体の重量は23%アップの193kgに増加し、燃料の約3割はバッテリーの充電に費やされると予想されている。

798kgという現行車両に対してでさえ、重すぎるとの批判が特にドライバーから多く寄せられている中、このままだと次世代マシンは800kgを優に超える事となり、シングルシーターというよりはもはや、スポーツカーに近いマシンになりかねない。

こうした事情を背景に国際自動車連盟(FIA)は対策の第一弾として、約20kgの削減をターゲットに車体の小型化を検討しているわけだが、独「AMuS」の報道によりその具体的な数値が見えてきた。

伝えられるところによると車幅は2,000mmセンチから1,900mmへと100mm縮小され、ホイールベースも3,600mmから3,400mmへと200mm近く短くなる可能性があるという。FIAのスポーティング・ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは3,300mmも可能だと考えているが、一部チームからの抵抗に遭っているそうだ。

2000年以降の過去20年ほどでF1マシンの重量は約200kg増加した。このうちの半分はハイブリッド・ターボの導入によるもので、約50kgはヘイローの導入やシャシーの強化など、安全対策によるものだ。

残りの約50kgのうちの35kgほどがタイヤの大口径化と車体の大型化によるもので、残りは車体システムの複雑化による増加だ。つまり紙の上において、20kgという目標値は達成可能な現実的数値として捉えられている。

フロントウイングが車体前方に広がり、リアウイングが後部に張り出すなど、2017年以降のマシンは一気にサイズを拡大した。これは同時に更なるダウンフォースをもたらしたが、コンパクト化に伴い2026年型マシンのダウンフォースは約40%減少すると試算されている。

ただその分だけ空気抵抗も減少するため、アクティブエアロの導入も手伝い、レッドブルが懸念を表明していたデプロイメント切れのリスクは低減する見通しで、現行車両と比べて若干遅くなる事は避けられないようだが、オーバーテイクは容易になると見積もられている。