バルテリ・ボッタス、過酷な減量とトレーニングで摂食障害「手に負えなくなった」過去を明かす
アルファロメオのバルテリ・ボッタスは、F1キャリア初期に過度な減量が原因で摂食障害に苦しみ、精神分析医の助けを必要とする状況にまで追い込まれていた事を明かした。
ボッタスがF1デビューした2013年は車重増に繋がるV6ハイブリッドが導入される1年前だった。当時は長身のドライバーを中心に過酷な減量を余儀なくされる事例が跡を絶たず問題となっていた。
地元フィンランドの「hs.fi」とのインタビューの中でボッタスは、体重を減らしてパフォーマンスを上げるべく、キャリア初期に過度なトレーニングと食事制限、ダイエットに取り組んだ結果、ある種の「依存症」に陥っていた事を告白した。
蒸したブロッコリーという不健康な食生活でトレーニングを続け、チームにもその事を秘密にしていたという。
「肉体的にも精神的にも追い込んだ結果、手に負えなくなって依存症になってしまったんだ」とボッタスは語る。
「医師から摂食障害と診断されたわけじゃないけど、間違いなくそうだった。あまり健康的とは言えなかった」
「ベストを尽くしたいと思っていたし、そうしなきゃって思ってんだ。もし僕の体重が73kgで、チームから68kgにしろと言われれば、そのために何でもしただろうね」
「立ち直るために精神分析医の助けが必要だった。最初の診断は、僕が目標に達したいだけのロボット同然で、感情が全くない、というものだった」
「そう言われてハッとしたんだ。確かに当時の僕にはF1以外の人生がなかった」
ボッタスはまた、メルセデスでの最後のシーズンとなった2021年にも精神分析医の助けを借りていた事を明かした。
「あのシーズンも本当に厳しい時期だった。将来がかかっていたし、どのチームでドライブするか分からない状況だった」
「外部の助けを借りるのはハードルが高かった。タフだから助けはいらない、鏡を見ていれば何とかなる。そう思ってしまうんだ」
「でもプロは適切な質問の仕方を心得ていて、たくさんの錠を開けることができる。時に、こういう苦労をしているのは僕だけじゃないんだ」
ルイス・ハミルトンのチームメイトとして過ごした5年間の中でメルセデスが複数契約を提示した事は一度もなく、ボッタスは常にキャリアの瀬戸際に立たされていた。
レッドブル及びマックス・フェルスタッペンを相手に熾烈なタイトル争いを繰り広げた2021年は特に厳しいシーズンだった。ジョージ・ラッセル昇格の噂が本格化し、ボッタスはシートを失う恐怖と常に向き合わなければならなかった。
F1という輝かしい舞台の裏に肉体的、精神的に多くの犠牲を払うドライバー達の知られざる姿があることをボッタスの告白は教えてくれる。