F1中国GP:”異例の状況”を受けピレリ、スプリントに向け最低タイヤ圧を変更

  • Published:

2025年F1第2戦中国グランプリの2日目に向けて、公式タイヤサプライヤーであるピレリが、再舗装された路面とこれに伴う高速化を受け、タイヤの最低空気圧を再び引き上げる異例の措置を講じた。

上海インターナショナル・サーキットは2025年大会に向け、全面的に路面が再舗装された。これにより路面は以前と比較して遥かに滑らかになり、コーナリングスピードが向上。ルイス・ハミルトンはスプリント予選で、1分30秒849というコースレコードを樹立した。

これは昨年のポールタイムを2.811秒上回る異様なタイムだ。以前のコースレコードは7年前にセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が記録したものだが、当時のクルマは現在のクルマより66kgも軽かった。

ピレリは当初、週末開始の時点でスリックタイヤの最低空気圧をリアで1psi(23psi)、フロントで0.5psi(26.5psi)引き上げていたが、初日セッションを経て、さらに1psiずつ上積みし、リア24psi、フロント27.5psiとした。

「稀」なタイム向上―ピレリ技術責任者が見解

ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラは、今回の再舗装により生じたグリップレベルの向上は「非常に驚くべき」ものであると説明した。

「レギュレーションの変更がないにも拘らず、ここまでラップタイムが改善された例は稀だ」とした上で、「路面の進化はまだ続いており、明日はさらにタイムが向上する可能性がある」と予測した。

また、路面のバンプ(凹凸)が減少したことから、各チームがクルマのライドハイト(車高)を下げることが可能となり、これによって更なるパフォーマンス向上が実現したと分析した。

左フロントタイヤに深刻なグレイニング、戦略への影響も

ただ、上海インターナショナル・サーキットは伝統的に、左フロントに厳しいコースであり、初日セッションを終えては複数のドライバーがグレイニング(表面の摩耗)を訴えていた。

ベッラは「著しいグレイニング」が確認されたと認め、「摩耗への影響は小さい」としつつも、これによりパフォーマンスの低下が生じているとして、慎重なタイヤマネジメントが必要になると示唆した。

さらに、スプリントレースに向けて、各チームが2セットのハードタイヤを温存している事実にも言及。「ミディアムとソフトのデグラデーション(性能劣化)は0.2~0.3秒の範囲内と大きく、これが日曜の決勝用にハードを温存する判断につながっている」と分析した。

ピレリの見解によれば、スプリントレースではミディアムタイヤが主流となる見込みだ。昨年はジョージ・ラッセルがソフトタイヤで健闘したが、「今年、同様の戦略を試みることは誰にとっても難しいだろう」と予測している。


2025年F1中国GPのスプリント予選では、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)がコースレコードを更新してポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続く結果となった。

スプリントは日本時間3月22日(土)12時から、公式予選は同16時から1時間に渡って上海インターナショナル・サーキットで開催される。セッションの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

F1中国GP特集