レーシングスーツを脱ぐレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、F1中国GP予選にて
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「フェルスタッペンの主張には賛同できない」ベッテルの追い抜きを擁護するF1ドライバー達

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波紋を呼んでいるF1中国GP予選での紳士協定違反問題。当事者であり、不利益を被ることになったマックス・フェルスタッペンは、暗黙の不文律を盾に「予選でやって良い事じゃない」と語り、スタートライン直前でのベッテルのオーバーテイクを非難したが、フィールド上の大半のドライバーはベッテルの行為を擁護する立場に回っている。

メルセデスのルイス・ハミルトンは、「最終セクター内での追い抜きはドライバー全員の合意事項」と主張するフェルスタッペンに対して一言「同意できない」と反論。ベッテルのチームメイトであるシャルル・ルクレールもまた「チーム毎にタイヤ戦略が異なる以上、その約束事に従う事は出来ない。残念だけど、チームからの指示に従わなきゃならないわけだしね」との意見を表明した。

ベッテルと同じ様にフェルスタッペンを追い抜き、ギリギリのところでアタックを開始したルノーのニコ・ヒュルケンベルグは「ベッテルはアウトラップの序盤から既にプッシュしていて、早々に僕を追い抜いていった。他のクルマも同じように僕の後ろからプッシュしてきた」と語り、フェルスタッペンないしはレッドブルのピットが、危機的状況になる事を予測できていなかったのが一因では、と疑問を投げかけた。

ダニエル・リカルドもまた、スタックしたフェルスタッペンを追い抜いていった一人だ。「実際、本当にギリギリの状況だった」とリカルド。「ラインをくぐり抜けた時は時間切れまで1秒なかったかもしれない。通り過ぎる時に赤いライトが見えた位だからね」

「やるべき事をやらなきゃならなかった。通常はエチケットみたいなものがあるけど、あまりにも鬼気迫った状況だったから、それを守れる余裕なんてなかった」

「それに、僕ら以外の連中(主にレッドブルの事)が僕らと同じ情報(チェッカーまで時間がないこと)を得ていたとも思えない。だって彼らは準備ラップにあまりにも時間をかけていたからね」

実際にQ3に出走した10名の中の4人が、フェルスタッペンの意見に同意できないとの見解を示している。確かにこの4名は不利益を被った側ではないし、ハミルトンとルクレールはこの件に絡むことなく先にアタックラップをスタートさせている。だが、フェルスタッペンと同じように時間切れになってしまったハースのケビン・マグヌッセンも、ベッテルの行動は正しかったと主張する。

「最終的に(フェルスタッペンを追い抜いた)連中はラップを走れたわけだから、正しい事をしたってことだよね」とマグヌッセン。では何故マグヌッセンは、ルノーやベッテルのようにフェルスタッペンを追い抜いていかなかったのだろうか?

「”クソ野郎”になりたくないからさ」とマグヌッセン。何かと問題を引き起こし、その度に「暴れん坊」と揶揄される26歳のデンマーク人ドライバーは、冗談を飛ばしながらも本当の理由を次のように答えた。

「僕が追い抜かなかったのは僕が紳士だからじゃなく、そもそも追い抜けるチャンスが殆どないって考えてたからなんだ。だって凄く混雑してたわけで、誰も僕を先に行かせてくれるわけがないからね」

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