角田裕毅(レーシング・ブルズ)とリアム・ローソン(レッドブル)、2025年2月26日(水) F1プレシーズンテスト1日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
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昇格の罠?ローソンのレッドブルF1抜擢にチャンドックが抱く“懸念”、一方で潜在能力は「角田裕毅以上」とも

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英Sky Sports F1のカルン・チャンドックは、リアム・ローソンがレッドブルのフルタイムシートを得るには時期尚早ではないかとの懸念を示す一方、その潜在能力は角田裕毅より高いとの見解を示した。

レッドブルのシート、特に4度のF1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのチームメイトという立場には、計り知れないプレッシャーが伴う。過去にはピエール・ガスリーやアレックス・アルボンといった若手ドライバーが昇格したものの、十分な結果を残せずに短期間でシートを失うケースが続いている。

史上2人目の元インド人F1ドライバーであるチャンドックは、「リアム・ローソンは非常に才能のあるドライバーだと思う」と語った。

「ただ、彼はまだF1でフルシーズンを戦った経験がない。タイミングが早すぎる場合、過去の若手と同じようにキャリアが行き詰まるリスクがあるのではと、少し心配している」

ダニエル・リカルドにインタビューするカルン・チャンドック、2017年9月29日F1マレーシアGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ダニエル・リカルドにインタビューするカルン・チャンドック、2017年9月29日F1マレーシアGPにて

ローソンは2023年、負傷したダニエル・リカルドの代役としてレーシング・ブルズ(旧アルファタウリ)からF1デビューを果たし、印象的な走りを披露。特にシンガポールGPでは9位入賞を果たし、即戦力としてのポテンシャルを示した。

2024年はレッドブル系2チームのリザーブドライバーを務め、アメリカGP以降はダニエル・リカルドの後任レギュラー・ドライバーとして、旧RBでさらなる経験を積んだ。

ローソンについて、チャンドックは「彼は素晴らしい性格の持ち主であり、レーシングスピリットも兼ね備えている」と評価した。さらに、「彼はこれまで懸命に努力してきたし、僕の懸念が杞憂だったと証明してほしいと心から願っている」と付け加えた。

加えて、「僕はリアムの方が角田裕毅よりも潜在能力が高いと考えている」とも述べた。

角田裕毅は2021年のF1デビュー以来、着実な成長を遂げ、特に2023年と2024年シーズンには安定した成績を残した。しかし、レッドブル昇格のチャンスをローソンに奪われた今、F1キャリアの重要な岐路に立たされている。

24歳とまだ若く、将来の可能性は広がっているものの、レッドブル・ファミリーを離れて他チームへの移籍を模索する場合、大きな障壁がある。

2026年のレギュレーション刷新を控え、ほとんどのチームがドライバーラインナップを早々に決定。多くのチームが一貫性を重視し、現行体制を維持する方針を採っている。その結果、キャデラックの新規参戦が正式に確定していない現時点では、レーシング・ブルズを除けば未定のシートはわずか3つしか残されていない。

このため、今シーズン誰かが期待外れの成績に終わりシートを失うなどの動きがない限り、角田裕毅が他チームへ移籍する機会は2027年まで限られる可能性もある。