ホンダF1、全開率60%超のカナダGPに新型エンジンを投入…ICEのパフォーマンスを改善し馬力を向上
ホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクターは、今週末に開催される第7戦F1カナダGPに馬力を向上させた最新仕様のパワーユニットを投入する事を明らかにした。新型エンジンはピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーの両マシンに搭載される。
カナダGPの舞台となるジル・ヴィルヌーブ・サーキットは全開率60%超のストップ・アンド・ゴー型のトラック。トロロッソ・ホンダは、エンジンパワーが要求されるパワーセンシティビティーの高いサーキットに対し、非ハイブリッド・コンポーネントである内燃機関のパフォーマンスを向上させた「RA618H」で勝負を挑む。
歴代最多タイの全21戦が行われる2018年シーズンは、コスト削減の一環としてエンジン交換が年間三基までに制限されている。兼ねてより予想されていた通り、ホンダF1はパワーユニットの出力がラップタイムに大きな影響を及ぼすモントリオールのコースに改良型の最新スペックエンジンを持ち込む。
「カナダGPでは、主にICE(内燃機関)のパフォーマンス向上を図った新しいパワーユニットを2台のマシンに投入します」と田辺。カナダGPにエンジンアップグレードを持ち込む理由を次のように説明した。
「ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは長いストレートを有し、フルスロットルが60%を超えるサーキットです。加えて、ストレートの後には低速コーナーが控えており、立ち上がりでのドライバビリティも重要となります」
「こういった背景から、モントリオールではパワーユニットがキーファクターの1つとなっており、伝統的にエンジンサプライヤーが新しいアップデートを導入するグランプリとなっています」
「セーフティカーに出動率も高く、エネルギーマネジメントや燃費という面でも簡単なサーキットではありません。そのため良い結果を残すためには臨機応変に対応できる準備を整えつつ、正しい戦略を練り上げる事が必要となります」
20馬力、あるいは40馬力といった噂がささやかれるホンダの新スペックエンジンは、パフォーマンスの向上もさることながら、来季以降の同社の命運を大きく左右する重要なアップデートとなる可能性がある。
グリッド最強のシャシーを有すると称されるレッドブル・レーシングは、今季限りでルノー・スポールとのPU供給契約が満了となっており、来シーズン以降のホンダエンジン搭載を視野に入れ、両エンジンマニュファクチャラーのパフォーマンスを評価している。
カナダに持ち込まれるホンダエンジンの性能と信頼性次第では、来年「レッドブル・ホンダ」が誕生する可能性があり、遅くとも7月中には最終的な決断が下される見込みとなっている。