
サインツ、失望と怒りのあまり「明日のことなんて考えられない」ハジャー妨害の惨状を吐露―アルボンは”挽回Q3”も不満
2025年F1第10戦カナダGP予選でまさかのQ1敗退を喫したウィリアムズのカルロス・サインツは、レーシング・ブルズのアイザック・ハジャーにアタックを妨害されたことへの怒りと失望のあまり、「今はレースのことなんて考えられない」と率直な心境を明かした。
今週末のウィリアムズは、サインツとアレックス・アルボンの両名がフリー走行を通じて好調なペースを披露していたが、予選では一転して厳しい展開に見舞われた。
ハジャー妨害の影響は0.4秒、Q2に0.02秒届かず
サインツはアタックラップ中、チームから誤った情報を受けたハジャーに進路を塞がれる形となり、大きくタイムをロスしたと無線で非難の声を上げた。セッション後の審議を経て、ハジャーには3グリッド降格ペナルティが科された。
ウィリアムズ移籍後ワーストとなる予選17番手に終わったサインツは、これまで順調に積み上げてきた週末の努力が一瞬で水泡に帰したことに強い苛立ちと失望を見せた。
「正直、本当にガッカリだ。ここまでの週末は本当に良かったのに、たった一度の妨害で全てが台無しになってしまった」
「Q2まであと0.02秒だった。でもそのラップは、ターン3と4、そしてターン6と7で合計0.3〜0.4秒は妨害されたんだ。2回もだ。自分ではどうしようもない理由で予選を終えることになって、本当に悔しい。仕方がないけどね」
チーム代表のジェームズ・ヴァウルズは、ハジャーに妨害されたことが「Q1敗退の決定打」だったと指摘した。
ジル・ビルヌーブ・サーキットでのFW47の競争力を考えれば、レースでの挽回が期待されるところだが、サインツの頭の中は本来あるべき結果を残せなかった予選への悔しさでいっぱいだった。
「全力は尽くすけど、今はあまりにも落胆しすぎて、明日のことなんて考えられない」とサインツは下を向いた。
アルボン、Q1トラブルから巻き返すも「悔しい」
一方、チームメイトのアルボンは、Q1でバックストレートを走行中にエンジンカバーが破損するという奇妙なトラブルに見舞われた。大量のデブリが路面に飛散したことから、セッションは赤旗中断となった。
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エンジンカバーが破損したアレックス・アルボンのウィリアムズ、2025年6月14日(土) F1カナダGP予選(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
この中断が幸いし、チームは限られた時間ながらも修復作業を完了。この努力に応えるように、アルボンは残り1回のフライングラップを完璧に決めてQ2進出を果たし、最終的には10番グリッドを確保する巻き返しを見せた。
「悔しい予選だった。本来なら6番手か7番手に入れるペースはあったはずで、それが週末ずっと示してきたポテンシャルだった」とアルボンは振り返る。
「今日は予選でツキがなかった。風向きが昨日から180度変わって、クルマのバランスにも影響したし、タイヤの扱いにも苦しんだ。結果として昨日よりも大きく順位を落とすことになってしまった」
初日とは異なり、予選が行われたこの日は気温が上がり、風向きも変わるなど、いくつかの外的要因があった。
「Q1のトラブルに関しては、短時間で修復して走らせてくれたチームに本当に感謝してる。明日に向けては引き続き、C6タイヤの特性を理解するための作業に取り組むことになる。僕らはこの問題に対処しなきゃならない」
2025年F1カナダGP予選では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)という結果となった。
決勝レースは日本時間6月16日(日)27時にフォーメーションラップが開始され、1周4361mのジル・ビルヌーブ・サーキットを70周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。