
ルクレール「本当に腹が立つ」―PP視野も”ハジャー気流”の壁に阻まれ、対照的なハミルトンの反応
2025年F1第10戦カナダGP予選でまさかの8番手に終わったフェラーリのシャルル・ルクレールは、その表情に激しい苛立ちと悔しさをにじませた。自身のマシンにポールポジションを争える速さがあったと確信していただけに、その落胆ぶりは隠しようがなかった。
「完全にやらかした。本当に腹が立つ」
マシンから降りた直後、放送禁止用語を交えて放ったその言葉は、フラストレーションの深さを物語っていた。
見えない“壁”に阻まれたポール争い
運命を分けたのは、Q3終盤の最終アタックだった。第1セクターで全体ベストを記録し、ポール獲得への期待が高まった直後、第2セクターで突如としてマシンがスナップ。要因は、約100メートル前方を走行していたアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が生み出したダーティーエアーだった。
「この手の壁に囲まれた市街地コースでは、モナコと同じようにダーティーエアーの影響が特に厳しい。とてつもない影響があった」とルクレールは語る。
「本当に悔しい。あの時点まで…まだ7つしかコーナーを通過してなかったけど、ポールを取るに十分な内容だった。それだけに本当にフラストレーションが溜まる。今日のマシンは本当に良かったのに、それを活かせなかった」
ただしルクレールは、直接的に走行を妨害されたわけではなかったとし、ハジャーを責めることはしなかった。
今週末のルクレールは、初日から試練に見舞われていた。FP1でクラッシュを喫し、モノコックの交換が必要となったため、FP2を丸々欠場。それでもルクレールは、予選への影響は「ゼロ」だったと言い切った。
事実、初日の2回のプラクティスでは、合計わずか9周にとどまったものの、セットアップにほとんど手を加えることなく、FP3では2番手タイムを記録。早々に帳尻を合わせていた。
対照的なハミルトンの反応
一方、チームメイトのルイス・ハミルトンは、予選5番手という結果を「現実的」と受け止めており、「ポールは最初から狙えるような状況じゃなかったと思う」と冷静に振り返った。
また、元チームメイトのジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールを獲得したことについては、「メルセデスはアップグレードを持ち込んできたらしいし、あのチームのクルマはこのコースに合っている。おめでとうと言いたい」と素直に称賛した。
一方で、自身のクルマに対する感触については「一体感はない。今年に入ってから一度もね」と語り、いつその感覚が得られると思うかという問いには、「今年中に得られるかどうかも分からない」と率直な思いを口にした。
決勝への闘志は健在
8番手という結果に納得はしていないルクレールだが、決勝への意欲は失っていない。序盤での巻き返しができれば、表彰台は視野に入ると見ている。
「表彰台を狙いたい。ただし、それは他車をどれだけ早く抜けるかにかかっている」
一方のハミルトンも、「明日はなんとか表彰台に上がれるよう、全力を尽くす。それが目標だ」と語り、久々のトップ3フィニッシュを目指すと意気込みを語った。
2025年F1カナダGP予選では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)という結果となった。
決勝レースは日本時間6月16日(日)27時にフォーメーションラップが開始され、1周4361mのジル・ビルヌーブ・サーキットを70周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。