敗因はエンジンパワー? メルセデスがレッドブルとフェラーリに劣っていた領域
2022年シーズンの開幕を告げるF1バーレーンGP予選でのポールポジション争いのリングに前年王者シルバーアローの姿はなかった。メルセデスW13はレッドブルRB18やフェラーリF1-75に対して何処で負けていたのか?
マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレール、カルロス・サインツが最速の座を巡って火花を散らした裏で、メルセデスはハミルトンが5番手、ラッセルが9番手に終わった。ライバルはコンマ6秒という遥か彼方にいた。
メルセデスは予選の各ラウンドを含め、今週末は一度もタイムシートのトップに立てず、最高位は4位に留まった。ポーパシングは予選になっても変わらずドライバー達の脳を激しく揺らしていた。
苦戦は予想外の事ではなかったが、懸念されていたほど悲惨な結果でもなかった。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「現実的に考えて、予選はかなり難しいセッションになると予想していた」としながらも「今クルマに抱えている問題を考えれば、恐れていた程ではなかった」と語った。
とは言え、コンストラクターズ選手権9連覇を目指す上で理想的なシーズンの出だしでない事は間違いない。メルセデスW13はライバルに対して何処で失っていたのだろうか?
ホームストレート終端で計測されるスピードトラップでレッドブル勢が323km/hを叩き出して1-2に並んだ一方、メルセデスはハミルトンが計測した315.4km/hの15番手が精一杯だった。
更に、強みであるはずの低速コーナーでもライバルに及ばず、勝っていたのはターン11・13位のものだった。
トップスピード不足はフリー走行の段階から確認されていた。それだけにメルセデスはエンジンモードの面でポケットに多くを隠し持っているのではとの声もあった。だがそうではなかった。
もはやブリックスワースのV6ハイブリッドには何の優位性もないのだろうか?
トト・ウォルフ代表はメインストレートでライバルに負けている事を認めながらも「PUのパフォーマンスについて現段階で判断するのは非常に難しい」として、トップスピードが不足している原因として「データによると我々は誰よりもドラッグが多い」と車体の空気抵抗を挙げた。
そして「コース上の他のエリアではそれほど劣っているわけではない」として「パワーが不足しているかどうかについては最初の2、3レースを待った後に判断する必要がある」と付け加えた。
これほどまでに苦戦している要因の一つは、超絶タイトなサイドポッドを含むバーレーンテストに持ち込まれた大規模なアップグレード・パッケージだった。それは何もこのアップグレードがゴミだという意味ではない。
ウォルフは、アップグレードが予定されていたが故に、事前に行われたバルセロナテストの取り組み方、データの分析や検証が疎かになっていた可能性を認め、その結果としてマシンが抱える根本的な問題を発見できなかったのだと仄めかした。
いずれにせよ20日(日)の決勝は、”ベスト・オブ・ザ・レスト”を懸けてミッドフィルダー達と争うダメージリミテーションのレースになりそうだ。
決勝に向けてハミルトンとラッセルは、レッドブルやフェラーリには敵わないと口を揃え、ショブリンは「チャンピオンシップ争いにおけるダメージを最小限に抑えることに集中する」と優勝争いに否定的な見解を示した。
「レッドブルやフェラーリが苦戦すればルイスにもチャンスがあるかもしれないが、実際には背後に並ぶ全てのマシンと戦う事になるはずだ」
1周5412mのバーレーン・インターナショナル・サーキットを57周で争う2022年F1バーレーングランプリ決勝レースは、日本時間3月20日(日)24時にスタートの時を迎える。