ルクレール、”恐怖”を生き延び今季3勝目!レッドブルとフェラーリは各々1台失う / F1オーストリアGP《決勝》結果とダイジェスト

シャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えてターン1をトップで通過するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年7月10日F1オーストリアGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2022シーズンFIA-F1世界選手権第11戦オーストリアGP決勝レースが7月10日(日)にレッドブル・リンクで行われ、2番グリッドのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を逆転。1.532秒差でトップチェッカーを受け、4月の第3戦以来となる今季3勝目を挙げた。

ルクレールは71周を通してフェルスタッペンを凌駕するペースを刻んだものの、最終盤にレースを危うくする程の不具合をスロットルペダルに抱えた。それでもコックピットの中で奮闘。タイトル争いのライバルを抑え切った。チェッカーを受けると安堵のため息をつきながら「ああ、怖かった。本当に怖かった」を胸を撫で下ろした。

フェルスタッペンはタイヤのデグラデーションに苦しみ、フェラーリ勢に対して終始、劣勢を余儀なくされた。ただ、スプリントでの優勝と本戦でのファステストラップによってチャンピオンシップでの失点を最小限に抑えた。

約束されたかに思われたフェラーリ1-2の夢は潰えた。カルロス・サインツ(フェラーリ)はルクレールと同等のペースを重ねて2位表彰台を射程に捉えていたものの、56周目にフェルスタッペンを抜きにかかった際、パワーユニットが悲鳴を上げて車体後部から出火。絶望のリタイヤを余儀なくされた。

1台を失ったのはレッドブルも同様だった。4番グリッドのセルジオ・ペレスはジョージ・ラッセル(メルセデス)とサイド・バイ・サイドになりターン4に進入。接触によってアウト側のグラベルに飛び出し、車体に大きなダメージを負った。スチュワードはラッセルに5秒ペナルティを科す裁定を下した。

ペレスは一旦、ピットに戻りコースに戻ったものの、損傷による影響は大きく、25周目にクルマをガレージに入れてリタイアした。ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)も49周目にガレージへと戻った。計3台がチェッカーを受けることなくレースを終えた。

3位表彰台にはルイス・ハミルトン(メルセデス)が滑り込んだ。ハース勢の攻略に手間取ったものの、交わした後は後続を大きく引き離して独走した。ラッセルは4位にまで巻き返した。

予選でのWクラッシュとスペアパーツ不足により、メルセデスは決勝でラッセルに旧型ハイダウンフォース・リアウイングを、ハミルトンに新型のローダウンフォースリ・アウイングを与えた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台に上がったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、フェラーリのシャルル・ルクレールとローラン・メキーズ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2022年7月10日F1オーストリアGP決勝レース

5位はエステバン・オコン(アルピーヌ)、6位には前戦で初入賞を果たしたミック・シューマッハ(ハース)が続き、ランド・ノリス(マクラーレン)を7位に抑えた。

8位はケビン・マグヌッセン、9位はダニエル・リカルドと、ハースとマクラーレンがダブルポイントを獲得した。

スプリントでの電気系統のトラブルとパワーユニット交換ペナルティを経て最後尾19番グリッドに着いたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は10位フィニッシュと盛り返した。

同胞サインツの悲劇により導入されたバーチャル・セーフティーカー(VSC)によって、第一スティントを引っ張り忍耐強く機を待ち続けたアロンソは大きなゲインを得たかに思われた。だが、どういう訳か2回に渡ってピットインを行いポジションを失った。

これに関連したものかどうかは不明だが、スチュワードはアロンソの14号車にアンセーフリリースがあったとして、レース後に調査を行うと発表した。

紆余曲折ありながらも、アルファタウリ勢はこの日も光るパフォーマンスを発揮する事ができず、ピエール・ガスリーが15位、角田裕毅が16位と、ポイント圏内でフィニッシュする事は叶わなかった。角田裕毅はバトルの際、アロンソに指を立てられ抗議される一幕もあった。

レース概要

決勝は日本時間10日(日)22時にブラックアウトを迎え、1周4326mのコースを71周する事で争われた。

一部に厚い雲が垂れ込めながらも現地シュピールベルクは概ね晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温20℃、路面29.9℃、湿度36%、気圧939.5hPaのドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。前日夜の雨の影響で路面がグリーンとなったためにデグラデーションが大きく、予想とは異なり2ストップが主流となった。

スタートタイヤは、ハードを選んだ周冠宇(13番手)、角田裕毅(16番手)、セバスチャン・ベッテル(18番手)、アロンソ(19番手)の4台を除く全車がミディアムを履いた。

ペレスとラッセルが接触したオープニングラップを経て、ポールシッターのフェルスタッペンはファステストを連発しながら後続との差を広げにかかるも、ルクレールも最速タイムでしっかりとこれに食らいつき、DRS圏内を維持しながら果敢に仕掛けていった。

ルクレールは12周目のターン4でイン側に飛び込みトップを奪取。フェルスタッペンはこれを機にハードタイヤに交換。7番手でコースに復帰した。

初ポイントとスプリントでの好走を経て勢いに乗るシューマッハは、4周目にハミルトンを交わして7番手にポジションを上げた。ただ、タイヤマネジメントで数枚上手のハミルトンは15周目にやり返してポジションを奪還した。

グリーントラックが影響し、第1スティントは当初の予定よりもかなり短くなったが、ルクレールは27周目までミディアムでのオープニングスティントを引っ張り、フェルスタッペンの後方3番手でコースに復帰した。サインツもその翌周にピットインした。

ルクレールはフレッシュタイヤのアドバンテージを活かして33周目にフェルスタッペンを再びオーバーテイク。タイヤの劣化に苦しむフェルスタッペンは37周目に早くも2回目のピットストップに動き、ハードタイヤに履き替えた。

フィールドの上から下までトラック・リミットが飛び交った。ガスリーとノリスはこれにより5秒ペナルティを受けた。

ガスリーは40周目、ターン4でベッテルに仕掛けた際に接触。4度のF1ワールドチャンピオンはグラベルに飛び出した。スチュワードはガスリーに別途、5秒ペナルティを科した。

1ストッパー狙いかと思われたフェラーリは、49周目にルクレールをピットに呼び、フェルスタッペンの後方3.8秒の位置でコースに送り出した。翌周にはサインツにもピットインを指示した。

ルクレールは53周目にフェルスタッペンに襲いかかり、あっさりとラップリーダーの座を取り戻した。これに続いてサインツも58周目にフェルスタッペンを強襲したものの、まさにそのタイミングでエンジンが死亡した。

2022年F1第11戦オーストリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 71 1:24:24.312 25
2 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 71 +1.532s 19
3 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 71 +41.217s 15
4 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 71 +58.972s 12
5 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 71 +68.436s 10
6 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 70 +1lap 8
7 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 70 +1lap 6
8 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 70 +1lap 4
9 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 70 +1lap 2
10 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 70 +1lap 1
11 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 70 +1lap 0
12 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 70 +1lap 0
13 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 70 +1lap 0
14 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 70 +1 lap 0
15 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 70 +1 lap 0
16 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 70 +1 lap 0
17 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 70 +1 lap 0
NC 55 カルロス・サインツ フェラーリ 56 DNF 0
NC 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 48 DNF 0
NC 11 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 24 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温20℃
路面温度29.9℃
周回数71

セッション概要

グランプリ名 F1オーストリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 レッドブル・リンク
設立 1969年
全長 4318m
コーナー数 10
周回方向 時計回り

F1オーストリアGP特集

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