互いに譲らぬペレスとノリス、出場停止まで後2点…罰則点科すのは「頭が悪い」フェルスタッペンも擁護
マクラーレンのランド・ノリスはF1第9戦オーストリアGP決勝レースでセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)をコース外に追いやったとして、5秒ペナルティと2点のペナルティポイントを受けた。12ヶ月間の累積点は10点に達し、レース出場停止まで後2点に迫った。
前日の公式予選で9年ぶりにマクラーレンにフロントローをもたらしたノリスは、エステバン・オコン(アルピーヌ)がサスペンションを破損してコース脇にクルマを停めた事で導入されたセーフティーカーからのリスタート時にペレスの追撃に遭った。
スチュワードは、ノリスが十分なスペースを残さなかったために、ターン4のアウト側から仕掛けてきたペレスがグラベルに押し出されたと判断。一件の責任はノリスにあるとして先のペナルティを科す裁定を下した。
応酬し合うペレスとノリス
だがペレスに責任があると考えるノリスはペナルティに納得しておらず「彼は自分で勝手にコースアウトしただけで、僕は彼を押し出してはいない」と不服を訴えた。
「セルジオはあのコーナーの出口にグラベルがある事を知っていた。下り坂だから簡単にワイドに膨らんでしまう。つまりはそういう事さ」
「F2やF3を含めてどのカテゴリーを見ても、あのコーナーではアウト側に回ろうとした人がグラベルに落ちてしまう。あそこはそういうコーナーなんだ」
「リスクをとったのは彼であって僕じゃない。彼はオーバーテイクし切れず、その結果として自分自身をグラベルに落としてしまったんだ」
「僕は自分のミスだとは思っていない」
一方のペレスは、皮肉にも同じような形でシャルル・ルクレール(フェラーリ)をコース外に追いやった一件については「自分が目指すレースのあり方」から逸脱したもので「申し訳なく思っている」とするものの、ノリスとのインシデントに関しては「最悪だった」として相手方を非難した。
「ランドとの一件についてはフェアなレースじゃなかったと思ってる。彼は運良くダメージを受けずに済んだが、違う形になっていた可能性もある。いずれにしてもその後の僕のレースは台無しになってしまった」
なお、そんなノリスとペレスの2番手争いを後方5番手から静観していたバルテリ・ボッタス(メルセデス)は物凄く考え込んだ後に「僕はスチュワードじゃないけど、、チェコがグラベルに向かって行くのが見えた」とだけ答えた。
危険性ない行為に罰則点を科すのは「頭が悪い」
幸いにも次戦イギリスGPを前にした7月10日に2点が消滅するため、まだ幾らか猶予はあるものの、ノリスはペナルティポイントの方の裁定にも納得しておらず、危険性のない行為にペナルティポイントを与えるという判断は「頭が悪い」とスチュワードを激しく批判した。
「バクーでの赤旗の際にピットに入らなかった件では、誰も危険にさらしていないどころが、むしろその逆だったのに、ペナルティポイントが科せられる事になった」
「そして今日は、相手がグラベルに入っただけでペナルティポイントが科された。僕は何も危険なことをしていないというのに」
「黄旗の中でのオーバーテイクなど、明らかなルール違反で人々を危険にさらすような行為をした場合にペナルティポイントが科されるのは理解できる」
「でも今回のような些細な事でポイントを科すのは、僕に言わせればただ単に頭が悪い判断だ。F1のあるべき姿ではないし、他の人達も僕の意見を支持してくれることを期待する」
ウィナーとしてトップ3会見に同席していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は即座に「支持するよ」と答えてノリスの考えを支持した。
「例えば今回のような出来事が6回あったした場合(2点✕6回=12点)、出場停止に値するかと言えば僕は値しないと思う。それは正しい事じゃない」
「2年前にも言ったけど、これについては検討すべき内容だと思ってる」
7月4日(日)にレッドブル・リンクで行われた2021年F1第9戦オーストリアグランプリ決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位はランド・ノリス(マクラーレン)、3位はバルテリ・ボッタス(メルセデス)という結果だった。
シルバーストン・サーキットを舞台とする次戦イギリスGPは7月16日のフリー走行1で幕を開ける。