2023年F1オーストラリア 決勝レポート:類を見ない大混沌と惨事!3度の赤旗経てフェルスタッペン優勝、角田は今季初得点

ブラックアウト直後のアルバート・パーク・サーキットのホームストレート、2023年4月2日F1オーストラリアGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2023年シーズンのFIA-F1世界選手権第3戦オーストラリアGP決勝レースが現地4月2日(日)に行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで通算37勝目を飾った。1周目に3番手にまで後退し、残り12周のターン13で芝に飛び出た事を除けば快勝だった。

2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位表彰台にはフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が続く結果となった。角田裕毅(アルファタウリ)は10位でフィニッシュし、今季初ポイントを持ち帰った。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1オーストラリアGPの表彰台に上がった2位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年4月2日アルバート・パーク・サーキットにて

アルバート・パーク・サーキットでの58周は3度の赤旗が振られ、8台がリタイヤするという近年では類を見ない大混乱のレースとなった。レース後にはリザルトに対してハースが異議を申し立てたが、スチュワードはこれを棄却した

オープニングラップではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がグラベルに捕らわれ、まずは1回目のセーフティーカー(SC)が導入された。再開直後にはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)がクラッシュ。2回目のSCが導入されたが、その後、赤旗に切り替えられた。

17周目にはリアから炎が上がった4番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)がピットレーン出口にクルマを止め、バーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入された。

レース中盤は大きな混乱もなく各車、周回を重ねたが、残り5周という最終盤にケビン・マグヌッセン(ハース)がターン2の出口側のウォールと衝突。左リアホイールがコースに脱落して3回目のSCが導入され、その後、再び赤旗へと切り替えられた。

全車ソフトタイヤに履き替え残り2周のスプリントレースに臨んだが、再スタート直後のターン1~3で複数台が絡む多重事故が発生。ランス・ストロール、セルジオ・ペレスはコース外に飛び出し、エステバン・オコンとピエール・ガスリーは同士討ちに、ニック・デ・フリースはローガン・サージェントと、アロンソは後輩カルロス・サインツと接触した。

アロンソに対する衝突で全責任を問われたサインツは4位でフィニッシュしたものの、5秒ペナルティにより12位に終わった。クルマを降りたサインツは「こんな不公平なペナルティは見たことがない」と激怒した

最終盤の混乱により3度目のレッドフラッグが振られ、路面の清掃と破損したマシンの回収が行われた。

その後はチェッカーを目前にリタイヤしたアルピーヌ勢、デ・フリース、サージェントを除く12台がリスタート前の順位に並び、セーフティーカー先導下で58周のレースをパレードフィニッシュした。

3位表彰台に上がったチームメイトに続きランス・ストロールが4位を獲得。パルクフェルメ規定違反を経てピットレーンからスタートしたペレスが5位に、ランド・ノリス(マクラーレン)が6位に、そしてニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が7位に続いた。

オスカー・ピアストリは8位でフィニッシュ。キャリア初ポイントを地元メルボルンで掴み取り、周冠宇(アルファロメオ)が9位フィニッシュを果たした。

レース概要

決勝は日本時間2日(日)14時にブラックアウトを迎え、1周5,278mのコースを58周する事で争われた。現地メルボルンは晴天に恵まれ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温17℃、路面22℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは2番目に柔らかいレンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。セルジオ・ペレス、デ・フリース、サージェントはハードタイヤを選択。アルピーヌ勢とアルファロメオ勢はソフトを、その他はミディアムを履いてグリッドについた。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

スタート直後のホームストレートとピットレーンの様子、2023年4月2日F1オーストラリアGP決勝レース

オープニングラップでは2番グリッドのラッセルがターン1のブレーキングでイン側にねじ込みトップを奪取。続くターン3ではハミルトンがフェルスタッペンを交わし、メルセデスが1-2体制を築いた。

その後方では、ストロールの左フロントが右リアと接触した事でルクレールがコントロールを失いターン3でコースアウト。グラベルに捕まりクルマを降りた。

車両回収のためにSCが導入され、アルファロメオ勢、サージェント、ペレス、オコンがタイヤ交換に動いた。ハードスタート組のペレスとサージェントは一旦、ミディアムを履いて交換義務を消化。1周を経て再びハードに履き替えた。角田裕毅は2ポジションアップの10番手、ポイント圏内に浮上した。

レース再開直後の17周目、今度はアルボンがターン5でリアを失いクラッシュ。2回目のSCが導入された事でラップリーダーのラッセル、サインツ、マグヌッセンがタイヤ交換のためにピットインに動いた。だが、コース上に大量の砂利が飛散したために赤旗に切り替えられ、3名は大きくポジションを落とす事となった。

これを機に全車がタイヤ交換義務を消化。デ・フリースとサージェントはミディアム、残りの16台はハードを履いてコースへと向かった。

レースは10周目にスタンディングでリスタートを迎えた。デ・フリースはターン3の出口で左リアがオコンの右フロントと接触。軽く宙に浮いた。

角田裕毅はターン1の出口でノリスと接触。一旦先行を許したが、ターン3を前に抜き返した。ただ13周目に再び追い抜きを許し10番手に後退した。もう1台のマクラーレンMCL60を駆るピアストリともターン1で接触する場面があった。

12周目、フェルスタッペンがDRSを使ってバックストレートでハミルトンをオーバーテイク。トップの座を奪い返すと、その5周後にラッセルが火を拭きVSCが導入され、19周目にリスタートを迎えた。ペレスは22周目にポイント圏内に浮上した。

角田裕毅はピアストリに対してポジションを死守し続けていたが、オコンがピアストリを交わして11番手に浮上。アルピーヌA523との競争力の差は大きく、26周目にポイント圏外11番手に蹴落とされた。

タイヤが垂れてきたか、その後は30周目にピアストリ、34周目に周冠宇、そして35周目にはマグヌッセンと、次々とオーバーテイクを許して14番手にまで後退した。

残り5周、マグヌッセンのクラッシュにより2度目の赤旗が振られ、残り2周でスタンディングでのリスタートを迎るも、接触により4台のリタイヤを含めた複数のインシデントにより3度目のレッドフラッグが振られた。

2023年F1第3戦オーストラリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 58 2:32:38.371 25
2 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 58 +0.179s 18
3 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 58 +0.769s 15
4 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 58 +3.082s 12
5 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 58 +3.320s 11
6 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 58 +3.701s 8
7 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 58 +4.939s 6
8 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 58 +5.382s 4
9 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 58 +5.713s 2
10 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 58 +6.052s 1
11 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 58 +6.513s 0
12 55 カルロス・サインツ フェラーリ 58 +6.594s 0
13 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 56 DNF 0
14 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 56 DNF 0
15 21 ニック・デ・フリース アルファタウリ・ホンダRBPT 56 DNF 0
16 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 56 DNF 0
17 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 52 DNF 0
NC 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 17 DNF 0
NC 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 6 DNF 0
NC 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 0 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温17℃
路面温度22℃

セッション概要

グランプリ名 F1オーストラリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 アルバート・パーク・サーキット
設立 1996年
全長 5278m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1オーストラリアGP特集

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