アンドレッティ、FIA承認得るもF1エンジンなし…ルノーとの仮契約失効。協議保留
アンドレッティ・キャデラックは2025年のF1参戦に向けて国際自動車連盟(FIA)の承認を得たが、現時点では搭載するパワーユニット(PU)が確保できていないようだ。報道によるとルノーとの間で結ばれていた仮契約は2023年3月に失効した。
独「AMuS」によるとアルピーヌ・モータースポーツのバイス・プレジデントを務めるブルーノ・ファミンは、アンドレッティとの仮契約が期限切れを迎えた事を認めた上で、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)との商業的審査で「肯定的な結果が出た場合にのみ話し合いを再開する」と述べた。
ファミンは、1年前とは異なりルノー内部の優先順位が変化したと説明した。当初はカスタマーチームを持ち、より多くのデータを収集する事が求められていたが、現在は「2026年に向けて可能な限り最高のエンジンを開発すること」にフォーカスしているという。
アンドレッティと提携するGMはPUサプライヤーとしての将来的なF1参戦について評価しているが、少なくとも2026年までそれが実現する事はない。つまり現時点でアンドレッティは、たとえFOMからGOサインが出てもエンジンがない状況に置かれる。
F1競技規定の付則6は供給先チームが最も少ないPUサプライヤーに対して、FIAからの要請(F1の合意は不要)を条件として「新規カスタマーチーム」への供給義務を課している。例えば現時点であればルノー、2026年であればルノーとホンダがこれに該当する。アウディが含まれないのは新規PUサプライヤーが除外されているためだ。
つまり現時点で搭載エンジンがなくとも障害となる事はないように思われるが、AMuSは「新規カスタマーチーム」の解釈を巡ってFIAとFOMが対立する可能性を指摘している。
それによるとFIAは、アンドレッティがエンジンを必要とする緊急時にはルノーが供給しなければならないとの見解を有しているが、FOMは、この供給義務は既存チームにのみ適用され、新規参入チームには適用されないと解釈している。
とは言え何にせよ、アンドレッティは兎にも角にもFOMとの最終審査をクリアしなければならない。既存チームはアンドレッティの参戦によって分配金が減少する事を恐れており、また、チームスタッフの引き抜きを警戒している。
F1の商業権を持つFOMはアンドレッティに対し、マーケティング活動やパートナーシップおよびスポンサー、PUサプライヤーとの契約など、詳細な計画を提出するよう要求し、どのくらいの収益増が見込めるのかを試算すると共に、モンテカルロやスパ、ザントフォールトなど、スペースが限られたサーキットに追加のガレージやモーターホーム用の駐車スペースを設けるためにどれだけの費用がかかるのかを見積もっている。
最終的な決断が下されるのは来年春になるとの見方もある。そうなればアンドレッティが望んでいる2025年の参戦は事実上、実現不能となる。