ダニエル・リカルドとの再契約の可能性を除外しないアルピーヌF1
仮にダニエル・リカルドがマクラーレンを離脱し、その後任にオスカー・ピアストリが収まった場合、アルピーヌにとって最善の選択肢の一つは33歳のオーストラリア人ドライバーと再び契約する事だ。
フランスの「AutoHebdo」に続き「ESPN」もまた、複数の情報筋からの情報として、正確な条件は不明ながらもピアストリがマクラーレンと契約を結んだと伝えた。
この契約がリザーブドライバーとしてのものであるならばリカルドの来季は安泰とも言えようが、今年、アルピーヌのリザーブになる事すら嫌々だったとするピアストリが来年もその役割に甘んずることを選んだとは少々考えにくい。
また、仮にそうであったとしても、フェルナンド・アロンソの去就が分からない時点で、アルピーヌでの来季F1デビューを諦めるような契約をマクラーレンとの間で結ぶというのも非現実的な話に聞こえる。アロンソ離脱の可能性を視野に、解除条項を設けるのが普通だろう。
アルピーヌの来季F1シートが確実となったにも関わらず、ピアストリはこれを告げるチームの声明を否定した。つまりピアストリにはアルピーヌのレギュラー契約上に魅力的な選択肢があるという事であり、それはリカルドの暗雲を意味する事になる。
胡座をかいて2つの有力オプションを失った格好のアルピーヌは2023年以降のエステバン・オコンのチームメイト探しに乗り出す必要があるものの、魅力的な選択肢は多くない。
この問題を解決する一つの策はリカルドと再び契約する事だが、両者はあまり良い別れ方をしていない。
ルノーは長期的なチームの大黒柱として2019年にリカルドと契約したものの、その翌年にリカルドは僅か2年でチームを去る決断を下し、2021年にマクラーレンに加わった。
あれから2年を経てチーム代表を務めていたシリル・アビテブールは去り、上層部の顔ぶれはオトマー・サフナウアーとローラン・ロッシへと変わったが、ルノーのCEOはルカ・デメオのままであり、リカルドの復帰を快く思わないキーパーソンがいる可能性もある。
だが、アルピーヌの現チーム代表、サウナウアーは、様々なチームを縦横無尽に渡り歩くアロンソに触れて、最優先事項はあくまでも、表彰台争いに復帰する事を目的とした「100レースプロジェクト」の達成に最も貢献できる人物を選ぶ事だと指摘した。
英Autosportによるとリカルドに関して問われたサウナウアーは「例えばフェルナンドは行ったり来たりしている。それは他のドライバーにも起こり得ることだと思う」と語った。
「それが問題だとは全く思わない。我々が集中すべき事は先程も言ったように、この先の89~88レースの計画だ」
「我々としてはこの計画を最高のドライバーで補完しなければならない」
ピアストリが最終的にマクラーレンではなくアルピーヌを選んだ場合、チーム内の雰囲気が懸念されるが、ホンダ・レーシング・ディベロップメントの副社長として2004年のジェンソン・バトンの一件を近くで見ていたサウナウアーは、それが問題になる事はないと主張した。
「私は長年に渡って、こうした出来事を目撃してきた。ジェンソンがウィリアムズと契約し、ブリティッシュ・アメリカン・レーシング・ホンダを去ろうとした時、何も問題はなかった」
「オスカーがジェンソンと違う事は分かっているが、いずれにせよ、同じような道を歩む必要がないことを願っている」
「当時のジェンソンはBARで素晴らしい仕事をしたし、ウィリアムズに行く事はなかった」
BARに所属していたバトンは、2004年のシーズン途中にウィリアムズとの2年契約を発表した。これに対してBARは契約を盾に契約承認委員会(CRB)に一件を持ち込み、ウィリアムズとの契約を無効化させる事に成功した。
BARへの望まない残留は結果的にバトンにとって感謝すべきものとなった。ウィリアムズはその後、衰退の一途を辿った。一方のBARは2006年にホンダに買収され、バトンはその年のハンガリーGPでキャリア初優勝を飾った。