
結果は残酷も心は折れず。アロンソを鼓舞した”ホンダPUの前進”「諦めずに戦う原動力になる」
圧倒的なタイム差を突きつけられ、単独で最後方に取り残されるという残酷な現実を前にしても、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)の心は折れていなかった。
2026年F1第8戦オーストリアGPの予選後、21番手に沈んだ辛口のF1王者の口から出たのは、現状を悲観する言葉ではなく、マシン、とりわけホンダ製パワーユニット(PU)の改善と、「励みになる」との非常に前向きな評価だった。
トップ17間よりも大きい「1.4秒差」
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
コックピットに収まるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年6月27日(土) F1オーストリアGP予選(レッドブル・リンク)
キャデラックが大規模アップグレードを投入したことを背景に、アストンマーティン・ホンダは頭一つ飛び抜けて単独で最後尾に取り残されることとなった。
アロンソはQ1トップから2.859秒遅れの21番手、チームメイトのランス・ストロールは3.280秒遅れの最下位に終わった。控えめに言っても1周が短いレッドブル・リンクで、このタイム差は絶望的といえる。
キャデラックに対しても、1.418秒もの差をつけられた。このギャップは、Q1におけるトップから17番手までのタイム差よりも大きかった。
それでもアロンソは、最後のアタックラップを終えると「悪くないラップだった。期待とは違うけど、それほど離されたわけでもない。着実に近づいてきている」と無線で前向きな手応えを口にした。
また、ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアも「前進の手応えがあった」と振り返った。
ホンダの前進がもたらした「当たり前」の実現
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
パドックを歩きながら談笑するアストンマーティン・ホンダのジャック・クロフォード、ランス・ストロール、フェルナンド・アロンソ、2026年6月27日(土) F1オーストリアGP予選(レッドブル・リンク)
この惨状を前に、どうしてこのような前向きな発言が飛び出したのか。セッション後のインタビューで、その理由が明らかになった。アロンソはホンダ製PUの着実な前進に勇気づけられていた。
アロンソは、現状の競争力が不十分であることを認めつつも、「今週末はいくつか前向きな点が見えた。チームはセッションごとに改善していたと思う」と語った。
「ホンダに関してもそうだ。デプロイメント[エネルギーの出力展開]やドライバビリティ、ギアシフトなど、走行を重ねるたびに良くなっていった」
「そして予選では、マシンの挙動に一貫性があった。3回のアタックラップすべてで、同じデプロイメントが得られたんだ」
アロンソによれば、これまでの週末ではそうした「ごく基本的なこと」すら実現できていなかった。当たり前のベースラインがようやく機能し始めたことが、アロンソにとって大きな手応えとなった。
最後方で燃やす「表彰台争いの情熱」
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ガレージ内で走行準備を進めるランス・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)、2026年6月27日(土) F1オーストリアGP予選(レッドブル・リンク)
こうした改善は、どれだけ厳しい状況下でも決して諦めないチーム及びホンダの努力の賜物だった。アロンソは、このプロジェクトに関わる全ての人々の姿勢を高く評価した。
「僕らはグリッド最後方に沈んでいるけど、まるで表彰台を争っているかのように誰もが全力を尽くし、100パーセントの力で取り組んでいる」
「それは励みになるし、僕らドライバーにとっても、諦めずに戦い続けようという気持ちを与えてくれる。誰一人として諦めていないことの表れだからね」
予選結果だけを見れば、アストンマーティン・ホンダをめぐる状況は悪化の一途を辿っているようにすら映る。だが、この日のアロンソの表情は、どこか晴れやかに見えた。
アロンソはまた、結果が伴わない状況でも改善を積み重ねることの重要性を強調した。
「もちろん楽じゃない。誰も僕らを助けてはくれないんだから!ここは競争が非常に激しい世界だ」
「だから、自分たち自身で改善点を見つけなきゃならない。すべては自分たちの手に懸かっているわけで、精神的にも強くなければならない」
「ただ、今日のような日や今週末のような週末は、たとえ結果が同じだったとしても、チームにとって良い励みになると思う」
2026年F1オーストリアGP予選では、黄旗の遵守をめぐる物議を経てジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手にシャルル・ルクレール、3番手にルイス・ハミルトンと、その後方をフェラーリ勢が占める結果となった。
決勝レースは日本時間6月28日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4326mのレッドブル・リンクを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。