Published: Updated:
11月26日(日)、2017年シーズンF1最終戦アブダビGP決勝レースがヤス・マリーナ・サーキットで開催された。既にドライバー及びコンストラクターの両タイトルが決している中、全20台のマシンが闇夜に浮かんだコース上で火花を散らし、55周のレースを戦い抜いた。最終節に相応しく、チェッカーフラッグが振られたヤス・マリーナ・サーキットには、会場の至る場所から花火が打ち上げられシーズンフィナーレを彩った。
今季最後のウィナーに名を刻んだのはバルテリ・ボッタス(メルセデス)、移籍1年目の難しいシーズンをポール・トゥ・ウインで飾った。2位にはルイス・ハミルトン、ボッタスとのギャップを終始2秒以内に抑え追随したがオーバーテイクするには足らなかった。感情を表に出さないのがフィンランド人、と前置きした上でボッタスは次のようにコメントした。
「後半戦はかなり難しい出だしだったから、今日の勝利は僕にとって本当に重要だと思う。こういった形でシーズンを締め括れて本当に幸せだよ。ランキング2位のセバスチャンを祝福するよ。僕は今年は3位、来年は更に上を獲れれば良いね」ボッタスは12ポイント差でドライバーランキング2位を逃した。
Bottas: "It's a really important win for me. This week: pole, win – I couldn't be happier" #AbuDhabiGP 🇦🇪 #F1 pic.twitter.com/J0OyFLOjU0
— Formula 1 (@F1) November 26, 2017
「全力を尽くした」とハミルトン。「バルテリに心からおめでとうを言いたい。ここでオーバーテイクするのは本当に難しいし、最終セクターで手こずってしまったから何もできなかったんだ。チームの皆にもお礼を言うよ。彼らが用意してくれた今年のマシンは信じられない位素晴らしかった。共に戦えて誇らしく思うよ」
「序盤はかなり攻めたよ」とベッテルは語る。「良いスタートだったけど、行き場がなくてロックアップしちゃったんだ。数周後からは引き離されてしまって、かなり物足りないレースになっちゃったね。バルテリ、おめでとう。そして、今シーズンのルイスを心から祝福するよ。こんな事言いたかないけど、彼は素晴らしい人間だと思う」
レースはスタートからチェッカーまでチャンピオンチームの独壇場となった。2台のメルセデスは3位以下を20秒引き離しゲームを完全に支配した。序盤の数ラップは幾らかアクションが見られたものの、その後はピットストップのタイミングを除き例年通り殆ど動きはなかった。
4位はキミ・ライコネン(フェラーリ)、終始後続のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を抑え続ける”ライコネン・レーシングスクール”の教官を務めた。フェルスタッペンは見せ場なく、ライコネンの指導に付き合った。
21周目、4番手を走行中のダニエル・リカルド(レッドブル)はハイドロ系のトラブルで戦線離脱した。チーム代表のクリスチャン・ホーナーが「今季ベストラップ」と評した見事な予選も、マシンの信頼性のために水の泡となった。
33周目、入賞圏内を走っていたカルロス・サインツ(ルノー)がタイヤ交換のためにピット・イン、スーパーソフトに履き替えピット出口に向かったものの、左フロントタイヤがハマっておらずリタイヤとなった。コースオフでのアドバンテージに対して5秒ペナルティーが科された僚友ニコ・ヒュルケンベルグは6位入賞。6ポイントを獲得しチームを総合6位に導いた。コンストラクターでトロ・ロッソを逆転したエンストンのチームは、さらに数億円分賞金を上積みした。
マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソが9位入賞を果たし、チームの最後に花を添えた。2015年に世界中の期待を背負ってF1に復活したマクラーレン・ホンダ、3年を経て一度も表彰台に上がることなく消滅する。ストフェル・バンドーンは12位、惜しくもダブル入賞とはならなかった。
ポジションを争っていたサインツが退場したことで孤独なレースが続いていたアロンソは、無線でチームに質問を投げかけた。「ストフェルは何処にいんの?」チームが「P12だよ。問題を抱えてる」と答えると「アイツをポイント圏内に入らせるために何かできることはないの?」とアロンソ。残念ながら、そういった”魔法のボタン”は備わっていなかった。
Mwah, @MassaFelipe19 😍 #AbuDhabiGP 🇦🇪 #F1 pic.twitter.com/6V9lnKOAJf
— Formula 1 (@F1) November 26, 2017
ウィリアムズのフェリペ・マッサは、16年に渡るキャリア最後のレースを10位フィニッシュで飾った。チェッカーを受けたマッサはドーナツターンでこれまでのサポートに感謝を示した。数々のタイヤロックに苦しみながら最下位に沈み、中盤には早々にレースを諦めたランス・ストロール、不必要ながらも計3度タイヤ交換を行い、来年に向けての勉強会に集中した。
来季ホンダとタッグを組むトロ・ロッソには厳しい結果が突きつけられた。ブレンドン・ハートレーは15位、ピエール・ガスリーは16位、マシンは終始不安定な挙動をみせ、二人は度々車をスピンさせた。
F1での最後のレースと考えられているパスカル・ウェーレインは14位、トロ・ロッソ2台を上回ってみせた。同じくシート喪失が危ぶまれているマーカス・エリクソンは17位、フル参戦したドライバーの中で唯一ノーポイントに終わった。
ポディウムセレモニーでは新しいロゴが発表され、シーズン幕引きでありながらも新しい時代の到来を感じさせるイベントとなった。
© Formula One World Championship Limited
2017年F1第20戦アブダビGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | Pts |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | ボッタス | メルセデス | 55 | 1:34:14.062 | 0 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 55 | +3.899 | 0 |
3 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 55 | +19.330 | 0 |
4 | 7 | ライコネン | フェラーリ | 55 | +45.386 | 0 |
5 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 55 | +46.269 | 0 |
6 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 55 | +85.713 | 0 |
7 | 11 | ペレス | フォースインディア | 55 | +92.062 | 0 |
8 | 31 | オコン | フォースインディア | 55 | +98.911 | 0 |
9 | 14 | アロンソ | マクラーレン | 54 | +1 lap | 0 |
10 | 19 | マッサ | ウィリアムズ | 54 | +1 lap | 0 |
11 | 8 | グロージャン | ハース | 54 | +1 lap | 0 |
12 | 2 | バンドーン | マクラーレン | 54 | +1 lap | 0 |
13 | 20 | マグヌッセン | ハース | 54 | +1 lap | 0 |
14 | 94 | ウェーレイン | ザウバー | 54 | +1 lap | 0 |
15 | 28 | ハートレー | トロロッソ | 54 | +1 lap | 0 |
16 | 10 | ガスリー | トロロッソ | 54 | +1 lap | 0 |
17 | 9 | エリクソン | ザウバー | 54 | +1 lap | 0 |
18 | 18 | ストロール | ウィリアムズ | 54 | +1 lap | 0 |
NC | 55 | サインツ | ルノー | 31 | DNF | 0 |
NC | 3 | リカルド | レッドブル | 20 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 24℃ |
路面温度 | 30℃ |
周回数 | 55 |
セッション概要
グランプリ名 | F1アブダビGP |
---|---|
レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | ヤス・マリーナ・サーキット |
---|---|
設立 | 2009年 |
全長 | 5281m |
コーナー数 | 21 |
周回方向 | 反時計回り |