ダニエル・リカルド、来季レッドブル入りに言及…ラスト覚悟の感動のハグ。苦境凌いだ「感謝の気持ち」
ダニエル・リカルドは第22戦アブダビGPを13番グリッドからスタートし、引退戦のセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)との最終盤の攻防を制して9位でフィニッシュ。マクラーレンにポイントを持ち帰った。
チームメイトのランド・ノリスが122点を稼いでランキング7位につけた一方、2014年と2016年の3位ランカーはベッテルと同一の37点に留まり11位でシーズンを締め括った。
レース前には両親と抱き合い、レース後には元チームメイトのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を強くハグして離さない場面もあった。F1ラストレースとなる可能性を覚悟していた。レースを終えたリカルドはバーンアウトを行い、ひとまずF1に別れを告げた。
「マクラーレンでの最後のレースでポイントを獲得できて本当に嬉しい。自分の持っているペースでベストを尽くせたと思う」とリカルドはレースを振り返った。
「フロントタイヤを守るのに苦労した。それが最大の足枷で、ちょっとトリッキーだった。ただドライビングとしては守れる時には守り、追い越せる時に追い越すことができた。その点ではかなり満足してる」
「終盤にベッテルに追いつかれてしまい、抑えようとしてタイヤを消耗してしまったけど、何とか持ちこたえてポイントを獲得できて良かった。シーズンを締めくくるのに相応しいレースだった」
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2年に渡りフロントエンドが弱いマクラーレンのマシンに苦労し続けた。それでも時には競争力の片鱗を見せた。ただ、一貫してそのレベルのパフォーマンスを発揮し続ける事はできなかった。
「確かに、気持ちよく走れたレースもあった」とリカルド。
「困難や苦労は僕を奮い立たせるものだった。それでも1週間後に突然、元の状態に戻ってしまうような状況だった。でも夏休み以降は何度かいいレースができてよかった」
かつての輝きは失われ、同胞の後輩、オスカー・ピアストリにシートを奪われる形でF1を去る。それでもリカルドは常に笑顔を絶やさない。
「視野を広げることができた」とリカルドは語る。
「競争していると本当に容易に忙殺されてしまう。多大な時間を割いているから上手くいかないとすぐに怒ったり、苛立ったり、辛い気分になってしまうものなんだ」
「自分が本当に好きなものに対してネガティブな感情を抱いてしまう」
「でも視野が広がった事で、そういう状況にあって僕は幸せと感謝の気持ちを持ち続けることができた」
「僕らには好きなことして生きる特権がある。これは本当に楽しいスポーツだ。環境、旅、その中で出会うすべての人々。人生で何をしていようとも、感謝の気持ちを持つことは前に進むのに役立つ」
クリスチャン・ホーナー代表が認めた通り、レッドブルは来季サードドライバーとしての役割をリカルドにオファーした。2024年の復帰を目指すリカルドは古巣移籍の可能性が高い事を認める。
「レッドブルは僕にとって最も可能性が高い場所だ。契約にサインするまでは100%とは言えないけど、今の時点で最も近いところにあるのは間違いない」
「もしそうなった場合、レギュラードライバーのように24戦全てに帯同するつもりはない。ハッキリと口にしているように、今の僕には自分自身のために少し休む時間が必要で、少し距離を置きたいからね」
「でもある程度は近くにいて、関わりを保つようにするつもりだ」
何にせよ、この2年はキャリアの中で最も苦しいシーズンだった。ただそれでもリカルドには前に進むための原動力となる”感謝の気持ち”がある。
「チームの皆に感謝を伝えたい。レース後、ダッシュボードに素敵なメッセージを書いてくれた。たまらなかった。ありがとう」
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「最高の結果もあれば、最低の結果もあったけど、ランドと一緒にレースを楽しんだ」
「これまで僕を支えてくれた全ての人たち、”パパイヤ・アーミー”、コースサイドとウォーキング(マクラーレンの英国本拠)にいる皆には幾ら感謝してもし切れない」
「これがマクラーレンでの最後のレースかもしれないけど、この先の将来を楽しみにしてる。来シーズンのチームの成功を祈ってる」
11月20日(日)に行われた2022年F1第22戦アブダビGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで自身2度目のタイトルシーズンを締め括った。
全22戦のシーズンはこれで全日程が終了した。F1サーカスは冬のオフシーズンを迎える前に、11月22~23日にヤス・マリーナ・サーキットでのポストシーズンテストに臨む。