分解されたF1マシンのイメージ
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前後のダブルDRSに’00年代風の翼端板、2026年F1マシンは「インウォッシュ」化で空力刷新か

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2026年以降のF1マシンのレギュレーションはまだ確定していないが、インチダウンや更なるアクティブ・エアロの採用、車幅の縮小など、低ドラッグ化や軽量化を目指した議論は煮詰まりつつあり、徐々にその姿が具体的になってきているようだ。

次世代型F1パワーユニットの出力の半分は電気モーターによって供給される。エネルギーを効率的に使うためには、ダウンフォースを確保しつつもドラッグを減らし、車重を落とす必要がある。

ローンチカラーが施されたアウディF1のショーカー (8)Courtesy Of Audi

ローンチカラーが施されたアウディF1のショーカー (8)

独「AMuS」の報道によると、レギュレーションを策定する国際自動車連盟(FIA)はメキシコGPに先立ち、チームのテクニカル・ディレクターに最新版のデザインを提示した。

これによると車体のドラッグを減らすべくモノコックの前面部分、いわゆるバルクヘッドやコックピットを含めた幾つかのエリアの前面投影面積が縮小され、車幅も2,000mmから1,900mmに減らされるという。また、ホイールベースも現行の3,600mmから最大3,400mmに制限される。

重量低減に向けてホイールサイズも18インチから16インチへと小型化される。これによりタイヤの直径と幅は10%減少する。

空力面では、リアウイングだけでなくフロントウイングにもDRSを実装する事が議論されているという。これは直線区間を走行する際、フラップを地面と平行にする事で空気抵抗を削減し、トップスピードを引き上げるものだ。ビームウイングやディフューザーエッジの可動化も検討されているようだ。

フロントウイングの翼端板は前輪の内側に空気を流す事を目的に、その位置が中央方向に移動され、形状も内向きへと変更される。タイヤの前面には依然としてベースプレートが配置され、ごく僅かな高さのフィンのみがその端に設けられる。2000年代の翼端板を想起させるような形状だ。

2007年のデイビッド・クルサードの愛機、レッドブル・レーシングRB3、シルバーストン・サーキットにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

2007年のデイビッド・クルサードの愛機、レッドブル・レーシングRB3、シルバーストン・サーキットにて

車体の空力コンセプトは刷新される見通しだという。

2021年以前はフロントエンドを通して空気の流れを外側へと向ける「アウトウォッシュ」がトレンドだった。アウトウォッシュの撲滅を目指した現行のグランドエフェクトカー規定が2022年に導入されると、ダウンウォッシュと呼ばれるコンセプトがメインストリームに躍り出た。

次世代マシンでは、車体前方から流れる空気を車体中心部に向ける「インウォッシュ」コンセプトが検討されているという。その一環として、先述のフロントウイングの翼端板だけでなく、気流を内側へと導くような形でフロア前方部と前輪との間にバージボードのようなフィンを配置する事を計画しているようだ。

理論的にはインウォッシュの採用によって車体後方に流れる乱気流の低減が期待できる。これは後続車両のスリップストリーム効果を高め、オーバーテイクを容易にする。