ホンダF1長谷川祐介
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ホンダF1長谷川「信頼性とスピードの両方でエンジンが一定レベルの成果を発揮」 F1メキシコGP 2017《決勝》

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F1第18戦メキシコGP決勝レースを終えて、ホンダのF1総責任者を務める長谷川祐介は、信頼性とスピードの両方でエンジンが一定レベルの成果を発揮した、との認識を示した。

最終の2レースを見据えて戦略的なエンジン交換を実施した事もあり、フェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンの両ドライバーは最後尾スタートを強いられた。フロントランナーの接触事故なども手伝って中盤にはポイント圏内を走行、最終的にはアロンソが10位でチェッカーを受け選手権ポイントを追加した。

エルマノス・ロドリゲス・サーキットは標高2000mを超える高地に位置しており、出力と信頼性に劣るホンダ製パワーユニットの苦戦が予想されたが、決勝レース中に計測されたスピードトラップでは、アロンソが上から13番目の速さとなる348km/hを、バンドーンが18番目の344.2km/hを記録し、褒められた数値ではないものの悪くはない速さを見せた。

エンジンパワーが最も大きく影響するセクター1の最速タイムでは、バンドーンが10位、アロンソが12位の速さをマークしている。パワーも然ることながら信頼性の問題が発生しなかった事も大きな収穫となった。平地よりも空気が薄いため、メキシコではかなりの高負荷がエンジンを襲う。ライバルのルノーエンジン勢はトラブルが続出し散々たる結果に終わっている。

ダニエル・リカルド(レッドブル)、ブレンドン・ハートレー(トロ・ロッソ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)の3名はターボチャージャーの不具合でレースをリタイヤ、カルロス・サインツ(ルノー)もマシントラブルでレースを終え、ルノー勢は計4台が信頼性不足によってチェッカーを受けることなく散っていった。

マクラーレンを率いるエリック・ブーリエは「標高と冷却の面で技術的な課題が多くあるにも関わらず、2台揃って完走できた事はポジティブ」として一定の評価を示した。バンドーンは、ストレート速度の不足は大きいとしながらも「終始一貫して良いペースがあった」とレースを振り返った。

パワーユニットは妥当な水準の仕事をした

長谷川 祐介ホンダF1プロジェクト総責任者

両方のマシンがグリッド後方スタートを強いられましたが、最終的にポイントを獲得できチームにとって素晴らしい結果となりました。フェルナンドとストフェルの二人共が素晴らしいスタートを切り、終始10位を争う展開となりました。

週末を通してマシンに良いフィーリングを持っていたフェルナンドは、見事なドライブによって粘り強いレースを行いポイントを獲得してくれました。今日の彼の走行は情熱に満ちていて、卓越したドライバーである事を証明しました。私は彼の働きは賞賛に値すると思っています。ストフェルも素晴らしいスタートを切り終始攻め続けてくれただけに、ポイントに届かず残念です。

パワーユニットに関して言えば、標高が高く厳しいメキシコでのレースにも関わらず、2台ともがレースを完走した上にそこそこ良いスピードが発揮できました。ポジティブにこの地を後にできると思います。チームは戦略面で良い仕事をし、今日は誰もが皆信じられないほど頑張ってくれました。マクラーレン・ホンダとして挑むレースも残り後2つのみとなりますが、引き続きマクラーレンと協力して出来る限り上位を目指して取り組んでいきたいと思います。

最後になりますが、ルイスとメルセデスがチャンピオンシップで勝利した事をお祝いしたいと思います。ルイスと彼のチームは今シーズン素晴らしい仕事を成し得たと思います。


バンドーンが指摘するストレートライン速度の不足は、高回転領域におけるホンダエンジンのパフォーマンスの悪さを示している。低速域の立ち上がりは改善しているものの、200km/h後半からの伸びにはまだ多くの改善の余地がある。バンドーン同様にアロンソもストレートエンドでのスピード不足を訴えており、まだ多くの課題があるのは確かだ。

第18戦メキシコGPはタイトル争いを繰り広げるハミルトンとベッテルが接触する波乱の展開でスタートした。両者ともに緊急ピットインし最後尾からの追い上げを強いられた。怒涛の走りを見せるもベッテルは4位とタイトル妨害には至らず、ハミルトンが4度目のワールドチャンピオンに輝いた。決勝レースの詳細については、2017年F1メキシコGP決勝結果とダイジェストを参照されたい。

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