
メルセデスF1、ライバル開発攻勢でリード縮小「次々と投入できる資金はない」 それでもマクラーレンが“逆襲”を確信する理由
メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは2026年F1第12戦オランダGPを経て、他チームと同じペースでアップグレードを投入していない理由について、「次々と開発を投入できるだけの資金はない」と説明した。
今季開幕から6戦連続で勝利を挙げたメルセデスだが、第7戦バルセロナ・カタロニアGP以降の6戦では2勝にとどまっており、ライバルチームの開発攻勢に後れを取っている。メルセデスが最後に大規模なアップグレードを投入したのは、第5戦カナダGPだった。
フェラーリは第7戦バルセロナ・カタロニアGPでアップグレードを導入し、マクラーレンも前戦ハンガリーGPで大規模な改良を施したうえ、オランダGPにも新パーツを持ち込み、直近2戦ではランド・ノリス(マクラーレン)が2連勝を飾った。
開発費を「均等配分」―メルセデスの忍耐戦略
すべてのF1チームには2億1500万ドルのコストキャップが設定されており、各チームはその枠内で開発費をシーズンのどこへ振り向けるかという戦略的判断を下している。
英国の公共放送『BBC』によると、ウォルフは限られた予算を「シーズンを通じて均等に配分しようとしている」と説明した。
「それは、どのタイミングで最大規模のアップデートを投入できるか、そして選手権ポイントをどう最大化できるかという計算に基づいている」
「だから、シーズン序盤と比べて少し厳しい状況になっているのだ」
今季のメルセデスは現時点で、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルより明らかに新パーツの投入数が少ない。そのためライバル側からも、なぜメルセデスが自分たちと同じように開発費を使えていないように見えるのかという疑問が出ている。
ウォルフは、ライバルチームがシーズン序盤から中盤に多くの予算を振り向けている可能性を指摘した。
「シーズン終盤になれば、彼らが今と同じだけのものをマシンに投入できるか分かる。シーズン終盤よりも序盤や中盤に多く使うという、違う資金配分の戦略を取っているところもあるかもしれない」
ステラは疑問視、メルセデスの逆襲を予想
マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは、メルセデスに大規模なアップグレードを投入する余力が残っていないとの見方には懐疑的だ。2027年以降のパワーユニット(PU)規則変更に伴う車体設計への影響を考慮し、コストキャップの上限が引き上げられたためだ。
内燃エンジン(ICE)の出力向上のために燃料使用量が増え、これに伴いシャシーの再設計が必要になるとみられており、その対応のために追加の予算枠が設けられた。ステラによれば、2026~27年には300万ドル、2027~28年にはさらに300万ドルの増額が認められる。
「2027年のPUレギュレーションのおかげで、すべてのチームが予算上限の申告において追加枠を得る。ライバルたちがレベルを引き上げているのを見て、メルセデスも裏で間違いなく進めている開発をマシンに投入してくると思う」とステラは語る。
「風洞の中の彼らのマシンは、現在コース上を走っているマシンよりかなり速くなっているはずだ」
「何らかのアップグレードを投入してくるのは間違いないと思う。もしそうでなければ[我々にとっては]好都合だが、そんなことは考えたくもない」
実際、メルセデスの次の大規模アップグレードは、マレーシアで行われる4戦後のバーレーンGPに予定されている。
次戦イタリアGP、アントネッリ降格へ
なお、次戦イタリアGPでは、母国レースを迎えるアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がPU交換に伴うグリッド降格ペナルティーを受ける見通しだ。
ロングストレートを持ち、オーバーテイクも可能なモンツァ・サーキットであれば、降格によるダメージを最小限に抑えられるとメルセデスは考えている。
「理論上、我々の計算では、そこがペナルティを受けるのに最適なサーキットだ」とウォルフは語る。
「もちろん、アルゴリズムは国籍なんて考慮しない。私はチャンピオンシップを争いながら、広報面でも最高賞を取ろうとは考えていない。だから、その判断で行く」
2026年F1第12戦オランダGPの決勝レースでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを達成。今季2勝目を上げた。レーシング・ブルズから代役参戦した角田裕毅は、入賞圏内に迫るも惜しくも11位と、ポイント獲得とはならなかった。
モンツァ・サーキットを舞台とする次戦イタリアGPは、シーズン第13戦として9月4日のフリー走行1で幕を開ける。