
「今のは相当汚い」と荒れるアントネッリ。火種を残しラッセル勝利、アロンソDNF / F1カナダGP 2026《スプリント》結果と詳報
2026年F1第5戦カナダGPのスプリントで、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾った。だがその勝利は、チームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリとの激しい衝突を制してのものであり、チーム内の緊張は一気に高まった。
両者はチャンピオンシップを争う間柄にある。アントネッリは直近3戦を連勝しており、ラッセルに20点の差をつけてカナダに乗り込んだ。スプリント予選では、ラッセルがわずか0.068秒差でアントネッリを抑えてポールを獲得しており、シルバーアロー同士が火花を散らす構図は前日から鮮明になっていた。
アストンマーティン・ホンダ勢は、グリッド上でサスペンションの不具合に見舞われたことでピットレーンからスタートしたランス・ストロールが16位。予選でSQ2進出を果たしたフェルナンド・アロンソは、1周目のターン1で接触し、最終的には15周目にクルマをガレージに入れてリタイアした。
苦手スタートを克服したシルバーアロー
タイヤ交換義務のない23周のスプリントでは、22台中18台がミディアム(C4)を選択した。これに対し、グリッド後方に並んだキャデラック勢とランス・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)はソフト(C5)を、9番グリッドのアーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)は、唯一ハード(C3)を選んだ。
フォーメーションラップを経て、気温20度、路面温度32度というコンディションの中、スプリントはスタートを迎えた。
開幕からスタートを苦手としてきたメルセデス勢だったが、この日は2台がそろって好発進を決めた。オープニングラップを終えた時点で、3番手以下に2秒近い差を築いた。メルセデスがレースの1周目をリードしたのは、これが今季初めてだった。
その後方では、1周目にルイス・ハミルトン(フェラーリ)がターン2の外側からオスカー・ピアストリ(マクラーレン)をかわし、4番手へ浮上した。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
スタート直後のターン1で後続を抑えるジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年5月23日(土) F1カナダGPスプリント(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
2度の交錯で無線応酬、ウォルフ介入の事態に
アントネッリは、5周目あたりからラッセルへのプレッシャーを強め、6周目についに動いた。
最初の交錯はターン1で起きた。アントネッリはラッセルの外側から回り込もうとしたが、ラッセルにスペースを与えられず、芝生の上を走らされる格好となった。
「今のは相当汚い」とアントネッリはチームに伝え、その後ラッセルへのペナルティを求めた。
同じ周回のさらに先、ターン8・9の第3シケインでアントネッリは再び仕掛けた。だがブレーキングが遅れてタイヤをロックさせ、コース外に大きくはみ出した。
この一件で、アントネッリは2位の座をノリスに明け渡すことになった。無線にはさらに強い不満がにじんだ。
レースエンジニアのピーター・ボニントンは、ノリスを抜くことに集中するようアントネッリに促した。だが、アントネッリは「そんなことはどうでもいい。あいつ(ラッセル)に押し出されたんだ」と苛立ちを隠さなかった。
事態は、チーム代表トト・ウォルフの介入を招いた。
「キミ、運転に集中してくれ。無線で愚痴をこぼすのはやめてくれ」
ラッセルが1.272秒差でトップチェッカー
2度のコースオフでタイヤを汚したアントネッリは、一時ノリスに2.4秒の差をつけられた。だが、タイヤのコンディションが戻ると再びペースを取り戻し、13周目にはノリスの1秒以内へ迫った。
アントネッリが最後の攻勢に出たのは、ファイナルラップだった。ノリスの0.3秒差まで接近し、ターン1のアウト側から抜こうと試みたが、再びオーバーランを喫した。
最終的にラッセルはノリスに1.272秒差をつけ優勝した。アントネッリはノリスのさらに0.5秒ほど後方となる3位でフィニッシュした。クールダウンラップ中も不満は収まらなかった。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
スプリント表彰式でトロフィーを手に並ぶジョージ・ラッセル(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年5月23日(土) F1カナダGPスプリント(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
中団から上位にかけても順位の変動があった。ピアストリは1周目に4位をハミルトンに譲ったものの、レース終盤に取り返した。ハミルトンは5位の座をフェラーリのチームメイト、シャルル・ルクレールに明け渡し、6位に後退した。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は7位をキープし、ハードタイヤを選択したリンブラッドが8位でフィニッシュし、最後の1ポイントを手にした。
一方、8番手スタートのアイザック・ハジャー(レッドブル)はエンジントラブルに見舞われ、一度はガレージにマシンを戻した。その後コースへ復帰したものの、3周遅れの21位でレースを終えた。
全3ラウンド、計1時間が予定されるF1カナダGPの公式予選は、日本時間5月23日(土)29時からジル・ヴィルヌーヴ・サーキットにて行われる。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。
2026年F1第5戦 カナダGP スプリントリザルト
| Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 63 | ラッセル | メルセデス | 23 | 28:50.951 | 8 |
| 2 | 1 | ノリス | マクラーレン | 23 | +1.272s | 7 |
| 3 | 12 | キミ・アントネッリ | メルセデス | 23 | +1.843s | 6 |
| 4 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 23 | +9.797s | 5 |
| 5 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 23 | +9.929s | 4 |
| 6 | 44 | ハミルトン | フェラーリ | 23 | +10.545s | 3 |
| 7 | 3 | フェルスタッペン | レッドブル | 23 | +15.935s | 2 |
| 8 | 41 | リンブラッド | レーシングブルズ | 23 | +29.710s | 1 |
| 9 | 43 | コラピント | アルピーヌ | 23 | +31.621s | 0 |
| 10 | 55 | サインツ | ウィリアムズ | 23 | +36.793s | 0 |
| 11 | 30 | ローソン | レーシングブルズ | 23 | +61.344s | 0 |
| 12 | 5 | ボルトレート | アウディ | 23 | +61.814s | 0 |
| 13 | 31 | オコン | ハース | 23 | +64.209s | 0 |
| 14 | 11 | ペレス | キャデラック | 23 | +70.402s | 0 |
| 15 | 27 | ヒュルケンベルグ | アウディ | 23 | +72.158s | 0 |
| 16 | 18 | ストロール | アストンマーティン | 22 | +1 lap | 0 |
| 17 | 77 | ボッタス | キャデラック | 22 | +1 lap | 0 |
| 18 | 87 | ベアマン | ハース | 22 | +1 lap | 0 |
| 19 | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 22 | +1 lap | 0 |
| 20 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 22 | +1 lap | 0 |
| 21 | 6 | ハジャー | レッドブル | 20 | +3 laps | 0 |
| NC | 14 | アロンソ | アストンマーティン | 15 | DNF | 0 |
コンディション
| 天気 | 晴れ |
|---|---|
| 気温 | 20℃ |
| 路面温度 | 32℃ |
| 周回数 | 23 |
セッション概要
| グランプリ名 | F1カナダGP |
|---|---|
| セッション種別 | スプリント |
| セッション開始日時 |
サーキット
| 名称 | ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット |
|---|---|
| 設立 | 1978年 |
| 全長 | 4361m |
| コーナー数 | 14 |
| 周回方向 | 時計回り |