FIAは「警告を無視」サインツ批判、鈴鹿50G事故で露呈した2026年F1規則の重大リスク

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2026年F1第3戦日本GPの20周目、鈴鹿サーキットのスプーンカーブ(ターン13)でオリバー・ベアマン(ハース)が50Gの大クラッシュを喫した。マシンは大きく破損し、ベアマンは右膝に打撲を負ったものの、幸いにも骨折はなく意識もあった。

この件を受け、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)のディレクターを務めるカルロス・サインツ(ウィリアムズ)は、現行ルールが生み出している大きな速度差のリスクを示す一例だと述べ、早急に対処すべきと強く訴えた。

さらに、このようなクラッシュを予見していたドライバーたちの警告を無視したとして、統括団体である国際自動車連盟(FIA)を批判した。

スプーンで起きた50Gクラッシュ

スプーンカーブへの進入でベアマンは、前走フランコ・コラピント(アルピーヌ)との間に生じた急激な速度差に不意を突かれた。回避に動いたベアマンは、時速300kmオーバーという高速状態でコースオフし、芝生に乗りながらコーナー外側のバリアに突っ込んだ。

クラッシュ直後、ベアマンは自力でクルマから降りたものの右足を引きずっており、その後メディカルセンターでX線検査を受けた。50Gという大きな衝撃ではあったが、幸いにも骨折はなかった。

スプーンカーブは、いわゆる「0kWゾーン」として設定されており、ドライバーはMGU-Kの出力をゼロに切り替えることができる。先行車が出力を0kWまで落とし、後続がブーストを使っている場合、こうした途方もない速度差が生じる可能性がある。

今回のケースでは、スーパークリッピング、つまりエンジン全開状態で展開されるエネルギー回生による急減速が、ベアマンの予測を超える速度差を生んだ可能性も考えられる。

ハースの小松礼雄チーム代表は「前のマシンとの速度差が非常に大きく、彼は回避行動を取らざるを得ませんでした。あれは恐ろしかったです」と振り返った。

コラピントがディフェンシブに動いた結果なのではとの問いには、「いや、主な問題はあの極めて大きな速度差です」と答えた。

「警告し続けてきた」サインツの怒り

この事故を最も重く受け止めた一人がサインツだった。「僕らは、こういう事故はいずれ必ず起きると警告してきた。この種の速度差や、こういう種類の事故が発生するのは避けられない、とね」と語った。

サインツによれば、ドライバー達はこれまで、新たなルールが生み出す危険性を繰り返し訴えてきたものの、FIAとF1は新ルールによって向上したエンターテイメント性が損なわれるとして、警告を無視してきたという。

「彼らが『予選については調整するが、レースはそのままにする。なぜなら面白いからだ』と言った時、僕は本当に驚いた。ドライバーとして僕らは、問題は予選だけでなくレースにもあると強く訴えてきたのに」

逃げ場のない市街地コースで同様の事故が起きた場合のリスクを、サインツは具体的に指摘した。

「今回は逃げ道があったから運が良かった。これがバクーやシンガポール、ラスベガスだったらどうなるか想像してほしい。バリアのすぐ横でこういうこういう速度差でクラッシュが起きる事をイメージしてみてほしい」

「GPDAとして僕らは、このレギュレーションではこういう事態が頻繁に起きるとFIAに警告してきた。それを防ぎたいなら、早急に何かを変えなきゃならない」

コラピントが語る異常な速度差

当事者となったコラピントは、事故の瞬間の異常さをこう証言した。「速度差があまりにも大きすぎた。まるでこっちがアウトラップで、もう片方がプッシュラップをしているみたいだった」

「あそこは殆ど全開のコーナーだけど、彼は僕より50km/h以上速いような感じだった。こういう状況は特に、少し曲がったストレートの場合、本当にかなり危うくなると思う」

コラピントは自身のライン取りについて、接近してくるベアマンに反応したわけではないと説明しつつ、問題の本質は自身の動きではなく速度差にあると強調した。

「僕は動いていないし、そういうことは何もしていない。この速度差は様々な要因によるものだと思うけど、最大の要因はそこにある。1台がもう1台より50km/h前後も速いんだから危険だよ」

さらに、こうした速度差が生み出すオーバーテイク自体についても語り、「不自然」と指摘した。

スチュワードがペナルティを科さなかったように、スプーンカーブでのコラピントのライン取りそのものは、昨シーズンまでのF1であれば問題にならなかった、許容可能な一般的な動きだったと見ることもできる。

プレシーズンにはエステバン・オコンが、「カート時代から学んできたことを全て忘れてゼロから始め直さなければならない」と語っていたが、今回の事故はその指摘を裏付けるものとなった。

マイアミまでの5週間で解決策は示されるか

マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラやランド・ノリスらも、開幕戦オーストラリアGPの段階で、この速度差問題への懸念を表明していた。開幕からわずか3戦で、その懸念は現実のものとなった。

中東2連戦の中止により、F1は次戦マイアミGPまで5週間近い空白を迎える。この期間は、2026年の新規則が抱える問題を修正するための異例の好機でもある。

優先して対処すべき課題として挙げられているのは、エネルギーマネジメントを優先しなければならないあまり、予選での攻めたドライビングの余地が失われているという問題と、今回のクラッシュが示した危険な速度差の2点だ。

必要であればテスト規則を一時的に緩和し、チームが解決策を試せる環境を整えることも選択肢として浮上しているとの情報もある。FIAがマイアミGPまでの期間に実効性ある対応を打ち出せるかどうかが、問われている。

だが、FIAはレース後の声明で、今回のクラッシュの背景に「大きな速度差」があったことを認めつつも、「潜在的な調整はいかなるものであれ、特にエネルギーマネジメントに関するものについては、慎重なシミュレーションと詳細な分析を必要とする」として、変更の可能性について「現時点で憶測するのは時期尚早」と述べた。

FIAによれば、「特にエネルギーマネジメントに関しては、実走データに基づいて最適化を可能にする、調整可能なパラメーターがいくつもある」という。そして、その対応方法を協議するため、シーズン序盤に見直しを行う予定だという。

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