アストンを襲う「空白の代償」と「断絶の影」 ニューウェイ+ホンダでも4秒差、F1テストで露呈した未完のAMR26

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2026年の新規定導入に向けて、稀代の天才設計者エイドリアン・ニューウェイと、レッドブル王朝を支えたホンダを迎え入れたアストンマーティン。最強の布陣で新たな時代の覇者を目指したが、現状はあまりにも厳しい。

バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された第1回プレシーズンテストで露呈したトップとの「4秒差」は、カテゴリー違いを意味するほどの乖離だ。チーム代表者を務めるペドロ・デ・ラ・ロサは「遅れを取っているのは明らかだ」と認める。

崩れた「最強タッグ」の方程式、背景に2つの要因

ガレージで作業に取り組むアストンマーティン・ホンダのメカニック、2026年2月12日F1プレシーズンテスト2日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

ガレージで作業に取り組むアストンマーティン・ホンダのメカニック、2026年2月12日F1プレシーズンテスト2日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

ホンダ製パワーユニット(PU)を積んだニューウェイ設計のマシンは、なぜこれほどまでに出遅れたのか。デ・ラ・ロサは、その主な要因を2つ示唆した。

1つ目はニューウェイの合流時期だ。昨年3月2日にチームへ加わったニューウェイだが、本人が認める通り、ライバル勢に対して車体開発で4カ月もの遅れを取ることとなった。

2つ目の要因は、ホンダの「開発期間の断絶」だ。ホンダは2021年末に一度F1からの撤退を表明し、研究開発プログラムを縮小。リソースは他のプロジェクトに転用されたため、アストンとの提携にあたっては、実質的にゼロからの再スタートを余儀なくされる形となった。

デ・ラ・ロサは、モータースポーツの世界で”タラレバ”は意味をなさないとしつつも、「もしエイドリアンが数か月早く来ていたら、もしホンダが離脱せずに戻ってきていなかったら」と漏らす。

「だが結局ところ、それは仮定の話であり、結論として我々は遅い。望む位置にいない。だから計画を立て、対処する。何が問題かは正確に把握しているし、それに取り組む」

「後ろを振り返るのではなく前を見るべきだ。何が悪かったか、何をしなかったかを責めるのは簡単だ。出遅れた理由は多岐にわたる」

フェルナンド・アロンソは、バルセロナ・シェイクダウンで3日間の走行枠を消化できなかったことが、現在の苦戦の主な要因であると指摘した。結果的に数百周分の走行機会を逃し、本来であれば事前に解決できたはずの基本的な問題を、バーレーンテストで対処せざるを得なくなったという。

未完が露呈したAMR26の実情

バーレーン・インターナショナル・サーキットのピットレーンを走行するフェルナンド・アロンソのアストンマーティン・ホンダ「AMR26」、2026年2月12日F1プレシーズンテスト2日目Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

バーレーン・インターナショナル・サーキットのピットレーンを走行するフェルナンド・アロンソのアストンマーティン・ホンダ「AMR26」、2026年2月12日F1プレシーズンテスト2日目

AMR26はバーレーンで、未完成を象徴するかのような挙動を見せていた。重量オーバーに加え、パワーと効率も不足気味。とりわけターン10でのロックアップが顕著で、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールはこのコーナーで幾度となくタイヤスモークを上げていた。

デ・ラ・ロサは、エンジンやサスペンションなど特定のエリアではなく、「パッケージ全体」に問題を抱えているとしたうえで、「一夜で解決するものではない。5分で終わる仕事でもない」と、事態の深刻さを認める。

セットアップを変更してクルマの限界を探る、あるいは最適化するといった段階にはなく、今なお基本的な走行データの収集を優先せざるを得ない状況にあるという。

実際、まだ本格的なロングランすら開始できておらず、テスト3日目になってようやくC3タイヤを使ったショートランに取り組んだ程度だ。

暗雲の中で光るニューウェイの存在

パドックを歩くアストンマーティンのF1チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイ、2026年2月13日(金) F1プレシーズンテスト3日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

パドックを歩くアストンマーティンのF1チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイ、2026年2月13日(金) F1プレシーズンテスト3日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

だが、この暗雲立ち込めるガレージにおいて、唯一の希望となっているのがニューウェイの存在だという。

デ・ラ・ロサは、厳しい状況下でのテストセッション後、技術ブリーフィングで語るニューウェイのリーダーシップを「非常に力強く、あの場での彼の言葉は本当にインスピレーションに溢れるものだった。問題に直面していただけに、尚更だった」と称賛した。

「かつては各自がそれぞれの理論を口にしていたが、今はエイドリアンが進むべき方向を明確に示し、誰もそれを疑わない。膨大なリソースが一つの方向へ動き出している」

「物事が順調なときにリーダーは必要ない。本当に必要なのは、うまくいかない時なんだ」

期待値を1秒以上下回るという最悪のスタートを切ったアストンマーティン・ホンダ。シルバーストンのファクトリーでは、今この瞬間も不眠不休の戦いが続いている。