フェルスタッペン、5連覇への条件と可能性 ― 残り4戦の得点シナリオを読み解く。白旗から”史上最大の逆転王座”へ

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104ポイント、優勝4回分超――サマーブレイク明けのオランダGPを終えた時点で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランキング首位との間には、絶望的ともいえる差があった。5連覇の夢は潰えた――誰もがそう思った。

だがイタリアGPでの新型フロア投入を境に、レッドブルRB21は息を吹き返す。モンツァの勝利を皮切りに、直近5戦で3勝。わずか数週間前まで“白旗”を掲げていたレッドブルのエースは、再びタイトル争いの渦中へと戻ってきた。

パルクフェルメで勝利を祝うマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月21日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

パルクフェルメで勝利を祝うマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月21日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)

成せば”史上最大”の逆転劇

フェルスタッペンは現在、首位ランド・ノリスとの差をわずか36ポイントにまで縮めている。残り4戦、うち2戦はスプリントを含むため、最大116ポイントの上積みが可能だ。理論上、逆転はまだ十分に射程圏内にある。それどころか、この勢いなら――と思わせるだけの実績と経験、そして実力がフェルスタッペンにはある。

思い返せば2022年。シャルル・ルクレールに対する46ポイントという史上最も大きな差を覆して王座を獲得したのもフェルスタッペンだった。今季はその“倍の壁”を、わずか6戦で突破してみせた。その勢いたるや、ドラマを予感させるに十分だ。

グランドスタンドのファンからチャンピオン獲得を祝福されるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月9日F1日本GP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

グランドスタンドのファンからチャンピオン獲得を祝福されるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月9日F1日本GP決勝レース

絶たれた自力優勝、一方で終わらぬ戦い

一方で、自力でのタイトル獲得の可能性はすでに消滅している。残り全てでトップチェッカーを受けたとしても、ノリスがその全てで2位に食い込めば6ポイント届かない。一度でもミスやリタイアがあれば、すべてが水泡に帰す。

たとえば今週末のサンパウロGPでノリスがスプリントと本戦の両方を制し、フェルスタッペンがともに2位にとどまった場合、残り3戦と1スプリントで全勝しても、ノリスがすべて2位を確保すれば22ポイント及ばない計算になる。

マクラーレンMCL39と共に表彰台に立ちポーズを取るランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月26日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

マクラーレンMCL39と共に表彰台に立ちポーズを取るランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月26日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

「完璧な週末を続ける必要がある」

フェルスタッペンのこの言葉には、決意というより“覚悟”がにじむ。F1史上最大の逆転劇は、まだ途中経過にすぎず、幻に終わる可能性も十分にある。

それでもヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツ・アドバイザー)は、オスカー・ピアストリを含めた三つ巴のタイトル争いの中で、フェルスタッペンにまだ勝機が残されていると信じている。

サンパウロGPに先立ち、マルコはドイツのニュースチャンネル『RTL/ntv』にこう語った。

「ブラジルでは、これまでも奇跡のようなパフォーマンスを何度も見せてきた。雨が降れば、2台のマクラーレンより前でフィニッシュできる可能性が高まる」

昨年のサンパウロGP――17番グリッドからの大逆転勝利。雨と混乱を伴う2時間超の長丁場、そしてファステスト連発の圧巻ペース。あの光景こそが、マルコが言う“奇跡”の象徴だ。

「我々は信じている。それを達成しようとする強い意志を持っているし、わずかながらもチャンスは残っている」とマルコは強調する。

リスタートでレースリーダーのエステバン・オコン(アルピーヌA524ルノー)を追い抜くマックス・フェルスタッペン(レッドブルRB20)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

リスタートでレースリーダーのエステバン・オコン(アルピーヌA524ルノー)を追い抜くマックス・フェルスタッペン(レッドブルRB20)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

マクラーレン内部の“ほころび”に勝機

”奇跡”の実現に向け、マルコが見出している勝機の一つは、マクラーレン内部の力学とドライバーの経験値だ。

チームとして両ドライバーを平等に扱う原則、いわゆる“パパイヤルール”。そして、タイトル争いという未知の領域に挑む2人の若手が抱えるプレッシャー。マルコはそれらが、フェルスタッペンにとって追い風になり得ると考えている。

「2人はこれまでにも何度か接触を重ねてきた。これがタイトル争いの鍵を握るかもしれない。それだけ、シーズン終盤の重圧が両ドライバーにのしかかっているということだ」

パドックで話をするマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス、2025年10月23日(木) F1メキシコGPメディアデー(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

パドックで話をするマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス、2025年10月23日(木) F1メキシコGPメディアデー(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

残り4戦。5連覇を懸けた戦いは、まだ終わっていない。数字だけでは測れない“勢い”が、今のフェルスタッペンにはある。F1史上最大の逆転劇――その結末を知る者は、まだ誰もいない。

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