イギリス・ミルトンキーンズに位置するレッドブル・パワートレインズのファクトリー外観、2023年2月22日
Courtesy Of Red Bull Content Pool

2026年F1で競合エンジンに匹敵できると考えるのは「愚か」―メキーズが語るRBPTの”狂気”と、初年度に向けた覚悟

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レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキーズは、2026年に向けてレッドブル・パワートレインズ(RBPT)が進める自社製F1パワーユニット開発プロジェクトについて「これ以上ないほどクレイジーだ」と認め、その初年度から既存の強豪メーカーに肩を並べられると考えるのは「愚かだ」と述べ、劣勢に立つ可能性を認めた。

2021年末限りでのホンダのF1撤退を受け、当時のチーム代表クリスチャン・ホーナーの下、レッドブルはPUの内製化に踏み切った。現在は英国ミルトンキーンズに位置するRBPTの拠点において、フォードの協力を得ながら2026年に向けた次世代PUの開発が進められている。

メルセデス代表トト・ウォルフは、この挑戦を「不利な賭け」であり「エベレストを登るようなもの」と表現した。長年PU開発に取り組んできたメルセデス、フェラーリ、ホンダと比較すれば、新規参入のレッドブルやアウディが背負うハンデは極めて大きいと見られている。

チーム代表会見に出席するローラン・メキーズ(レッドブル・レーシング代表)とフレデリック・バスール(フェラーリ代表)、2025年9月5日(金) F1イタリアGPフリー走行(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

チーム代表会見に出席するローラン・メキーズ(レッドブル・レーシング代表)とフレデリック・バスール(フェラーリ代表)、2025年9月5日(金) F1イタリアGPフリー走行(モンツァ・サーキット)

ウォルフの発言を受け、メキーズはF1イタリアGP初日に「トトが言う通り、これはエベレストを登るようなものだ」と同意した上で、「自前でパワーユニットを造るという決断は、これ以上ないほどクレイジーだが、それこそレッドブルらしい挑戦だ」と語った。

さらに「初年度からフェラーリやメルセデスと同等のレベルに到達できると考えるのは愚かだ」と語り、2026年シーズンの競争力に慎重な姿勢を見せた。

一方で「我々はレッドブル流のやり方で最大限の環境を整えようとしている。一歩ずつながらも、パワーユニットだけでなく、それを支える人材や設備を可能な限り早く整えようと取り組んでいる」と説明した。

2026年の初年度については「膨大な努力と寝不足の夜が続く年になるだろう」と覚悟を示しながらも、「だがそれはレッドブルらしい挑戦であり、我々はその挑戦を愛している」と強調した。

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