モンツァ・サーキットを走行するマクラーレンMCL38のリアウイング、2024年F1イタリアGP
Courtesy Of McLaren

FIA、2025年F1規則を改訂:「ヒートハザード規定」導入、”ミニDRS”対策を強化

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2024年12月11日にルワンダで開催された世界モータースポーツ評議会(WMSC)を経てF1を統括する国際自動車連盟(FIA)は、DRS規定の変更とヒートハザード規定の導入を含む2025年の改訂版F1レギュレーションを発表した。

DRSの仕様変更

今季のアゼルバイジャンGPでは「ミニDRS」騒動が勃発した。マクラーレンMCL38に搭載されたリアウイングのフラップ前縁が高速走行時に曲がり、DRSと同様の効果を生み出しているとして注目を浴び、FIAから変更を命じられた

新たなルールでは、DRS未作動時のリアウイングを含む空力部品について、「完全に固定され、不動であること」が義務付けられた。また、DRS未作動時のリアウイング各要素間の最小間隔がより厳格に定められた。

  • 最小ギャップは従来の10-15mmから9.4-13mmに縮小
  • DRSを作動させた際の最大幅は従来通り85mm
  • DRSには2つのポジションのみ許可され、解除後はウイングが正確に元の位置へ戻ることが義務付けられる

ドライバー冷却システムの義務化

ドライバーの身体上の安全性の向上を目的に、「ヒートハザード」規定が新たに導入された。この規定は、FIAの公式気象レーダーが30.5℃を超える気温を予測した場合、またはレースディレクターが事前に宣言した場合に適用される。

ヒートハザードが宣言されると、各チームはドライバーに冷却システムを装備させる義務が生じる。これに伴う重量増加への対策として、車体重量の上限は一時的に5kg引き上げられ、805kgとなる。

また、2026年の大幅なレギュレーション改訂を前に、ポストシーズンテストでは新しいタイヤサイズに対応した「ミュールカー」の使用が許可された。この改造マシンはテスト専用として利用され、スムーズな移行を支援する役割を担う。