為す術なし…大事故を経て現行マシンの問題点を指摘するカルロス・サインツ
F1アブダビGPのFP2で発生した大クラッシュを経てカルロス・サインツ(フェラーリ)は、自身に為す術はなかったとして、2022年に導入された現行グランドエフェクトカーの問題点を指摘した。
開始8分、先週末のラスベガスGPでの不運な事故に続き、サインツは時速270km以上の高速でコントロールを失い、2回転してターン3のアウト側バリアに激突した。
幸いにも大きな怪我はなかったが、その衝撃はTECPROバリアの一部を切り裂くほどに大きく、フロントウイング、フロア、リアサスペンションを中心にマシンは大きなダメージを負った。
体の具合について問われたサインツは「悪くないと思う。心配してくれてありがとう。かなりのクラッシュだったけど、今のクルマは安全だから無傷で済んだ。今のところ少し痛みはあるけど大丈夫だ」と答えた。
サインツのクラッシュに先立ち行われたFP1では事故に至るケースこそなかったが、フェラーリをドライブしたロバート・シュワルツマンを含む何名かのドライバーが同じコーナーでクルマの挙動を乱すシーンがあった。
ヤス・マリーナ・サーキットは昨年大会以降、2箇所の路面が再舗装されたが、クラッシュが起きた場所は以前と変わっていない。
しかしながらサインツは「どういう訳か分からないけど、昨シーズンと比べてコースに変化があったんだ」と振り返る。
「ターン2の出口とターン3の進入にバンプが2つあったんだけど、この世代のマシンだと挙動が大きく乱れてしまうんだ」
「FP1で危うくコントロールを失いそうになったから、そうならないようにセットアップや走行ラインを変えたんだけど、どういう訳かあのラップでああなってしまった」
「多分、バンプを通過する角度と方向がドンピシャだったんだろうね。一旦、コントロールを失った後は何もできなかった」
グランドエフェクトカー規定の導入によりマシンはアンダーフロア由来のダウンフォース比率を大きく引き上げた。高速走行中にバンプを通過すると路面とフロアとの距離が急激に変化し、これに伴いダウンフォースが一瞬で失われるケースがしばしば見られる。
前戦ラスベガスGPではランド・ノリス(マクラーレン)が同じ様に、バンプがある箇所でクラッシュを喫した。
「以前にもあったけど、この世代のマシンは、こういう僅かなバンプによってスピンを喫したり、酷いクラッシュに見舞われる事があるんだ」とサインツは語る。
「理想的な1日とはならなかったけど、しょうがない。良い1日にできるよう明日頑張るつもりだ」
詳細を明かす事を拒んだが、恐らくは車高を下げ、足回りを固める方向で変更を加えたのだろう。サインツはFP1からFP2に向けたセットアップ変更が影響した可能性を認めた。
フェラーリは4点差でメルセデスとコンストラクターズ選手権2位を争う立場にある。衝突によるパワーユニットやギアボックスの交換が懸念されるが、幸いにもこの日搭載していたのは金曜専用のコンポーネントだったようだ。
ペナルティを受ける可能性について問われたサインツは「いや。ペナルティを受けるわけにはいかないし、残りの週末は問題ない」と答えた。
初日FP2をトップで締め括ったのはシャルル・ルクレール(フェラーリ)。2番手ランド・ノリス(マクラーレン)を0.043秒差で退けた。3番手には0.173秒遅れでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
3回目のフリー走行は日本時間11月25日(土)19時30分から、公式予選は同23時から1時間に渡ってヤス・マリーナ・サーキットで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。