ペレス、壁となりリタイヤする事でフェルスタッペンの戴冠を援護「何より大切なのはチーム。これ以上の喜びはない」
セルジオ・ペレスの援護射撃なくしてマックス・フェルスタッペンのチャンピオン獲得は叶わなかったかもしれない。31歳のベテランドライバーは7歳年下のチームメイトのために壁となってルイス・ハミルトン(メルセデス)に立ちはだかり、そして僅かでも逆転優勝の可能性を高めるため、2位を諦めリタイヤした。
フェルスタッペンとハミルトンが1回目のピットストップを行った後、レッドブルのピットウォールはペレスに「プランB」を指示した。摩耗したソフトタイヤを履くペレスに与えられた使命は、ハミルトンを抑える事でその後方から追い上げるフェルスタッペンを援護する事にあった。
ペレスは20周目の1本目のバックストレートでDRSを許し、ハミルトンにサイド・バイ・サイドを許したが、気迫の走りでこれを抜き返し、その後、1周に渡ってハミルトンを抑えてみせた。フェルスタッペンはこれによって5秒ものゲインを得た。
レースを終えたペレスは「何よりもまず、マックス(フェルスタッペン)とチームがタイトルを獲った事を本当に、本当に嬉しく思う」と語った。
「この1年間、そしてこれまでの必死の努力が報われたんだからね。マックスの走りのレベルを考えれば、このチャンピオンシップは彼に相応しい。本当にそう思うよ」
「彼は本当に素晴らしいチームメートだし最高な奴なんだ。そんな彼のタイトル獲得に貢献できたんだから、これ以上の喜びはないよ」
「ルイス(ハミルトン)がレースをコントロールしていた時、マックスとの差は10秒近くあったわけで、この結果に役立てたのなら本当に嬉しい」
「かなり摩耗したタイヤを履いていたから、やれる事は限られていたけど、何とかルイスから数秒を稼ぐことができた。結果的にそれがレースを左右する事になった」
ペレスはアグレッシブな防衛戦を仕掛けることでハミルトンと接触し、それによってチャンピオンシップが決する事を懸念していた。だが、チームが最優先との考えがブレることはなかった。
「誰だって他人のチャンピオン争いに関わりたくはないよ。だってそのために彼らは必死に努力してきたんだから。でも何より大切なのはチームだと僕は思ってる。だからチームのため、マックスのために頑張ったんだ」
ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のクラッシュにより導入されたセーフティーカー・ラップでペレスは、フェルスタッペンと同じくソフトタイヤに履き替え3番手を走行していたものの、パワーユニットのデータに異常が確認されたためリタイヤした。フェルスタッペンのタイトルを獲得を優先した決断だった。
「レース展開を振り返ると2位も可能だったかもしれない」とペレス。
「でもクルマの状態があまり良くなくて、更なるセーフティーカーの原因になるわけにもいかないからリタイアするほかなかった」
「コンストラクターズタイトルを獲得できずに終わった事は残念だけどシーズンを通してやってきた事には本当に満足してる」