レースの神が与えた最終周…叫び続けたホーナー「今回だけじゃない、マックスは1年を通じて途方もないドライバーであり続けた」
クリスチャン・ホーナーのレースの神への祈りが通じたのか。2021年シーズンのドライバーズチャンピオン争いは奇跡的な展開を経て、最終戦のファイナルラップで決する事となった。
レッドブル・ホンダの指揮官はタイトル獲得が絶望的な状況の中、神に祈りを捧げた。ルイス・ハミルトン(メルセデス)に付け入るスキはなく、2番手マックス・フェルスタッペンはそのギャップを縮められずにいた。
ホーナーはアブダビでの最終盤について「最後の10周はレースの神に何かしてもらう必要があると言っていたのだが、まさにあのセーフティーカーが我々を助けてくれた」と振り返った。
「今回のチャンピオンシップ争いはファイナルラップにまでもつれ込んだ。チームは追加のピットストップでソフトタイヤを履かせるという見事な戦略的判断を下した。あとはマックスがそれを実現するだけだった。そして典型的な”マックス・スタイル”でそれをやってのけた」
「私はターン5からバックストレートまでずっと叫び続けた。彼は仕事をやり遂げた。シーズンを通して偉大であり猛烈なライバルたちを相手に成し遂げてきた事について、マックスとチームのことを心から誇らしく思う」
残り6周でニコラス・ラティフィがクラッシュ。まさかのセーフティーカーが導入された。レッドブルはこの好機を逃さず、フェルスタッペンをピットに入れ、ソフトタイヤを履かせてコースに戻した。
リスタートを迎えたのはファイナルラップ。フェルスタッペンはターン5でハミルトンをオーバーテイク。続くストレートで抜き返しを図るハミルトンを決死のディフェンスで凌ぐと、2秒差でこれを振り切り今シーズンのチャンピオンを獲得した。
ただ運が良かったから、チャンピオンを獲得できたのではない。史上最多22戦に及んだシーズンを通して常に集中力を切らさず、ベストを尽くして結果を積み上げ続けてきたからこそのチャンスだった。
「今シーズンは素晴らしい争いを経てマックスがチャンピオンシップを勝ち取った」とホーナーは続ける。
「今回のレースだけでなく、シーズンを通じて彼は一貫して途方もないドライバーであり続けた。それが全てだ」
「ルイス(ハミルトン)もまたそうだった。1年を通して偉大なワールドチャンピオンとして、驚異的なライバルとして立ちはだかった。手強い相手だった。それだけに、より大きな達成感を感じている」
「そしてチェコ(ペレス)は今日、完璧なチームメイトを演じてくれた。完全に摩耗したタイヤながらもルイスを抑え続けたあれは、まさにスーパードライビングだった。彼がいなければ、マックスの世界チャンピオンはなかっただろう。チーム全体が完璧に戦略をやり抜いた結果だった」
ホンダ第4期F1活動は有終の美で幕を下ろした。だが形を変え、レッドブル・レーシングとの関係は来年も続く。
「ホンダに対しても、過去数年に渡るチームワークとサポートへの感謝の気持ちを伝えたい。形は変わる事になるが、我々のパートナーシップは続いていく。今後も共に、更なる成功を収めていく事を楽しみにしている」とホーナーは締め括った。