F1カタールGPタイヤ戦略考:ソフトを履くアルファタウリ・ホンダ勢は決して不利ではない?
追い抜き困難と見られるロサイル・インターナショナル・サーキットでポジションを上げ、グリッドよりも上位でF1カタールGPのチェッカーを受けるために効果的なレース戦略は何なのか?
中東という立地ゆえ、天候について頭を悩ませる必要はないだろう。予報では日没後も気温が27℃近くになる暑いコンディションが予想されている。降水確率も0%。雨による混乱を心配する必要はない。
唯一、注意を払うべき自然現象は風だろう。風は空力マシンを翻弄するのみならず、砂漠の砂をコースへと運んでくる。
公式タイヤサプライヤーのピレリは、57周で争われるカタールGPにおける理論上の最速ストラテジーをミディアム(C2)、ハード(C1)、ミディアムと繋ぐ2ストッパーだと見ている。
予選上位3台、つまりルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、バルテリ・ボッタスが共にミディアムでQ2を突破した事からも、ミディアムでの2ストップが主流となる事は間違いなさそうだ。
では、ソフトタイヤでQ2最速を刻み最終ラウンドに駒を進めたアルファタウリ・ホンダ勢は不利なのだろうか?
ファエンツァのチームが戦略的にソフトを選択した事は明らかだ。ピエール・ガスリーはミディアムでも十分にQ3に進出できただろう。だが敢えてソフトを選んだ。
恐らくソフトでスタートする事で、オーバーテイクが非常に難しいと予想されるロサイルでトラックポジションを上げる事を狙ったのだろうが、ガスリーは4番手とミッドフィールド最上位で、上位2名にペナルティが科されれば最前列2番グリッドの可能性もあるだけに、当初の狙いとは異なる状況にあると言えるかもしれない。なおスタートまで2時間を切って未だに暫定スターティンググリッドはおろか、予選結果すら確定しない状況が続いている。
さて、結局のところ、ミディアムでスタートしても2回のピットストップが必要になる可能性が高いため、その意味でソフトは決して不利とは言えない。
ガスリーに関して言えばソフト(13~18周)、ミディアム(20周)、そして最後に再びミディアムを履く戦略を採る事になるだろうが、2セット目にハードを使う手もありだ。
ただしチームメイトの角田裕毅を筆頭に、フェルナンド・アロンソ、エステバン・オコン、セバスチャン・ベッテルはミディアムが1セットしか残っていないため、基本的にはソフト、ハード、ミディアムでの走行が予想される。
なおピレリによると、初日だけで路面のグリップが3割近くも向上しているとの事で、予想以上にタイヤが長持ちする可能性も否定できないが、それでも摩耗が激しい事には変わりなく、1ストッパーは依然としてギャンプルとみて良さそうだ。