メルセデス大逆転!フェルスタッペン「間抜けか」身内のコースオフに…角田は3連続Q3 / F1メキシコGP《予選》結果とダイジェスト
2021 FIA-F1世界選手権18戦メキシコGPの公式予選が11月6日にエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われ、バルテリ・ボッタスが1分15秒875を記録してメキシコでの初のポールポジションを獲得した。
2番手はチャンピオンシップ2位につけるルイス・ハミルトン。0.145秒届かなかったものの、メルセデスが週末の劣勢をひっくり返してのフロントロー独占という、ハミルトンをして驚きの結果を手にした。
ポール最有力候補に挙げられていたマックス・フェルスタッペンはQ3最初の計測で3番手と奮わず、最終アタックでの逆転に全てを懸ける事となったが、思わぬ不運に阻まれた。
前を走っていた僚友セルジオ・ペレスがセクター2でコース外に飛び出した事で後退を強いられ、続く最終セクターではタイヤをロックアップさせた。結果、自己ベストを更新できず、2列目3番手に甘んじる事となった。
予期せぬアクシデントにフェルスタッペンは無線を通して「信じられない。なんて間抜けなバカなんだ」とフラストレーションを漏らした。
なおペレスは、前を走行していた角田裕毅に接近し過ぎた事でコースオフしたのだと説明。ラップを終えていれば「コンマ2・3秒は速かった」としたものの、2列目4番グリッドを確保した。
角田裕毅はチームメイトを牽引した後に先行させ、その後はチームの指示に従い残りのラップを走行。ペレスの走行を妨害しないよう、落ち着いてコース外に逃れ道を譲った。その際、路面が汚れすぎていたために砂埃が舞った。
これについてレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、角田裕毅が「クルージング」していたせいで、フェルスタッペンとペレスのラップが台無しになったと批判した。
一方の角田裕毅は「出来ることは他に何もありませんでした」と反論し、アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表も「ユーキに非はない」として擁護した。
ヘルメットを脱いだフェルスタッペンは「予選を通してバランスが少しずつ崩れていったように思う。とは言え、最終ラップは悪くなかった」とセッションを振り返った。
「目の前で何が起きたのかは分からないけど、2人がコースアウトしていたから黄旗が出ると思ってアクセルを少し緩めたんだ。もちろんラップは台無しさ」
「3番手は最高の結果とは言えないけど、2番手スタートよりはマシだと思う」
アルファタウリ・ホンダはフェラーリとのミッドフィールド最速争いに打ち勝ち、角田裕毅からトウの支援を受けたピエール・ガスリーが5番手につけた。ガスリーは角田裕毅のサポートに感謝の意を表した。
日本人ルーキーは最後尾ペナルティが決まっているものの、キャリア初の3戦連続Q3進出を果たす見事なパフォーマンスを披露。同じく降格が決まっているランド・ノリス(マクラーレン)の一つ前、9番手で予選を終えた。
跳馬はカルロス・サインツが6番手、シャルル・ルクレールが8番手という結果だった。その間、7番手にはノリスの牽引を受けたダニエル・リカルドが割って入った。
コンディションとコース、予選前状況
午前のFP3に引き続き現地メキシコシティは晴れ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温21℃、路面44.9℃、湿度21.9%、気圧783.9hPaのドライコンディションでスタートした。
メキシコGPの舞台は約2300mと、カレンダーの中で飛び抜けて標高が高いエルマノス・ロドリゲス・サーキット。空気密度が薄く、エンジンの吸気や空力や冷却に大きな影響を及ぼすため、独特なセッティングが必要となる。
公式タイヤサプライヤーのピレリはハード(白色)にC2、ミディアム(黄色)にC3、ソフト(赤色)にC4コンパウンドを投入した。
ノリスと角田裕毅に加えてランス・ストロール(アストンマーティン)、エステバン・オコン(アルピーヌ)がエンジン交換に伴う最後尾ペナルティを、そしてジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)がギアボックス交換に伴う5グリッド降格を受ける状況で予選に臨んだ。
なおラッセルはFP3を終えてエンジンに問題が確認されたため、予選に向けて使用済みの古い個体に交換した。
予選Q1:ストロールが赤旗クラッシュ
エントリーした全20台で争われる予選第一ラウンドのQ1は、開始から程なくして赤旗が振られる事態となった。
ストロールがマンセル・カーブ(最終ターン17)からの立ち上がりの際にリアを失い、外側のTechProバリアに激突。車体は大きく破損し、レースコントロールは車両及びデブリ回収のためにレッドフラッグを提示した。時計の針は10分58秒で止められた。
衝撃は12Gに及び、ストロールは予防的検査を受けたが、チームによるとバイタルサインやレントゲン写真は全て正常との事で大事はなかった。
ペレスやノリス、角田裕毅ら複数台がタイム計測の断念を強いられた。
FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシは破損したバリアの状況を確認し、交換を指示した。結果、中断は25分以上に及んだ。
Marshalls are still clearing the track
We'll be up and running again soon with just under 11 minutes of Q1 to go#MexicoGP 🇲🇽 #F1 pic.twitter.com/BmP8hZmUaV
— Formula 1 (@F1) November 6, 2021
なおキミ・ライコネンは赤旗が振られた後に一旦ピットレーンに進入したものの、白線を越えてコースに戻ったとして、セッション終了後に戒告処分が下された。10グリッド降格まで後がなくなった。
フェルスタッペンは最終フリー走行の終盤にDRSに関する問題を抱えていたが、チームは予選グリーンフラッグを迎えて尚、2台のリアウイングの調整を続け、赤旗期間中もガレージ内で作業が行われた。
レッドブル・ホンダによると前戦アメリカGPで抱えた問題とは異なるとの事で、クラックが入ったわけではないものと見られていたが、フェルスタッペンは予選後、クラックが発生していた事を認めた。
Meanwhile…
Red Bull are still tweaking the rear wings on both Checo and Max's car#MexicoGP 🇲🇽 #F1 pic.twitter.com/0u8FolRBaz
— Formula 1 (@F1) November 6, 2021
セッションが再開されると、その直後にコースに出たサインツが「パワーがない…」とトラブルを報告。無線の指示に従い手順を踏んだところ、幸いにもパワーユニットは息を吹き返した。
セッションが進むにつれて路面は更に改善していき、終盤にタイムシートが大きく変動。ボッタスとルクレールがフェルスタッペンを押しのけトップ2でQ2に駒を進めた。
アルピーヌにとっては失意の結果に終わった。降格を受けるオコンが15番手ギリギリで突破した一方、先に進まなければならないフェルナンド・アロンソが16番手で敗退を喫した。
ウィリアムズはラッセルがQ2進出を決めたものの、再開時のコースインの際にピット出口に割り込んだとして、チームメイトのニコラス・ラティフィ共々、セッション終了後に審議が行われたが、スチュワードはお咎めなしの裁定が下した。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ボッタス | メルセデス | 1:16.727 | 9 | |
2 | ルクレール | フェラーリ | 1:16.748 | + 0.021 | 9 |
3 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:16.788 | + 0.061 | 5 |
4 | ガスリー | アルファタウリ | 1:16.908 | + 0.181 | 8 |
5 | ペレス | レッドブル | 1:17.003 | + 0.276 | 8 |
6 | ハミルトン | メルセデス | 1:17.207 | + 0.480 | 8 |
7 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:17.330 | + 0.603 | 8 |
8 | ベッテル | アストンマーチン | 1:17.502 | + 0.775 | 9 |
9 | サインツ | フェラーリ | 1:17.517 | + 0.790 | 9 |
10 | ノリス | マクラーレン | 1:17.569 | + 0.842 | 7 |
11 | ライコネン | アルファロメオ | 1:17.606 | + 0.879 | 10 |
12 | リカルド | マクラーレン | 1:17.719 | + 0.992 | 6 |
13 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:17.897 | + 1.170 | 9 |
14 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:17.958 | + 1.231 | 7 |
15 | オコン | アルピーヌ | 1:18.126 | + 1.399 | 7 |
16 | アロンソ | アルピーヌ | 1:18.452 | + 1.725 | 7 |
17 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:18.756 | + 2.029 | 8 |
18 | シューマッハ | ハース | 1:18.858 | + 2.131 | 9 |
19 | マゼピン | ハース | 1:19.303 | + 2.576 | 9 |
20 | ストロール | アストンマーチン | 1:20.873 | + 4.146 | 3 |
予選Q2:角田裕毅、3戦連続Q3達成
Q3進出組にとってスタートタイヤが決まるQ2では、降格組の角田裕毅とオコンを除く全車がミディアムタイヤを履いてコースに向かった。
ハミルトンはボッタスのスリップストリームを得て2番手タイムを刻んだ後、ミディアムを計2セット使ってフェルスタッペンを0.009秒差で押しのけトップ通過を果たした。
フェルスタッペンはミディアムを1セットに抑え、予選Q3で万全を期すべく、2セット目にはソフトを履いて確認のための走行に取り組んだ。
ノリスからトウのサポートを得たリカルドは8番手でQ3進出を果たし、ノリスもまた、10番手ギリギリで最終ラウンドへの進出権を手にした。
角田裕毅はソフトタイヤで3番手をマークしてキャリア初の3戦連続Q3を確保すると、中古のソフトに履き替えて、ホームストレートで暫定9番手のチームメイトを牽引。ガスリーは5番手で突破を果たした。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 1:16.474 | 15 | |
2 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:16.483 | + 0.009 | 11 |
3 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:16.701 | + 0.227 | 13 |
4 | ボッタス | メルセデス | 1:16.864 | + 0.390 | 16 |
5 | ガスリー | アルファタウリ | 1:16.955 | + 0.481 | 16 |
6 | ルクレール | フェラーリ | 1:17.034 | + 0.560 | 16 |
7 | ペレス | レッドブル | 1:17.055 | + 0.581 | 13 |
8 | リカルド | マクラーレン | 1:17.092 | + 0.618 | 11 |
9 | サインツ | フェラーリ | 1:17.248 | + 0.774 | 17 |
10 | ノリス | マクラーレン | 1:17.473 | + 0.999 | 14 |
11 | ベッテル | アストンマーチン | 1:17.746 | + 1.272 | 16 |
12 | ライコネン | アルファロメオ | 1:17.958 | + 1.484 | 18 |
13 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:18.172 | + 1.698 | 13 |
14 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:18.290 | + 1.816 | 15 |
15 | オコン | アルピーヌ | 1:18.405 | + 1.931 | 13 |
16 | アロンソ | アルピーヌ | 1:18.452 | 7 | |
17 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:18.756 | 8 | |
18 | シューマッハ | ハース | 1:18.858 | 9 | |
19 | マゼピン | ハース | 1:19.303 | 9 | |
20 | ストロール | アストンマーチン | 1:20.873 | 3 |
予選Q3:逆転の最前列ロックアウト
トップ10グリッドを決する予選最終ラウンドのQ3では、1回目のアタックを終えてボッタスが暫定ポール、2番手にハミルトンが続き、メルセデスがタイムシートのトップに立った。
フェルスタッペンはリアのスライドに苦戦。0.35秒遅れの3番手に留まり、ペレスは0.467秒遅れの4番手と、レッドブル・ホンダ勢は劣勢に立たされた。
リカルドはノリスから、ガスリーは角田裕毅からトウを受け、各々7番手と5番手につけた。
フェルスタッペンは最終計測での逆転を目指したものの、目前で2台がコースオフする場面に出くわした事で自己ベストを更新できなかった。
結果、ボッタスがメキシコGP初のポールポジションを獲得。2番手にハミルトンが続く結果となった。
2021年 F1メキシコグランプリ決勝レースは、日本時間11月7日(日)28時にスタート。1周4,304mのエルマノス・ロドリゲス・サーキットを71周する事でチャンピオンシップを争う。
2021年F1第18戦メキシコGP予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | ボッタス | メルセデス | 1:16.727 | 1:16.864 | 1:15.875 | 23 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 1:17.207 | 1:16.474 | 1:16.020 | 22 |
3 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:16.788 | 1:16.483 | 1:16.225 | 18 |
4 | 11 | ペレス | レッドブル | 1:17.003 | 1:17.055 | 1:16.342 | 18 |
5 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 1:16.908 | 1:16.955 | 1:16.456 | 22 |
6 | 55 | サインツ | フェラーリ | 1:17.517 | 1:17.248 | 1:16.761 | 23 |
7 | 3 | リカルド | マクラーレン | 1:17.719 | 1:17.092 | 1:16.763 | 17 |
8 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:16.748 | 1:17.034 | 1:16.837 | 22 |
9 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:17.330 | 1:16.701 | 1:17.158 | 19 |
10 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:17.569 | 1:17.473 | 1:36.830 | 19 |
11 | 5 | ベッテル | アストンマーチン | 1:17.502 | 1:17.746 | 16 | |
12 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 1:17.606 | 1:17.958 | 18 | |
13 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:17.958 | 1:18.172 | 13 | |
14 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:17.897 | 1:18.290 | 15 | |
15 | 31 | オコン | アルピーヌ | 1:18.126 | 1:18.405 | 13 | |
16 | 14 | アロンソ | アルピーヌ | 1:18.452 | 7 | ||
17 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:18.756 | 8 | ||
18 | 47 | シューマッハ | ハース | 1:18.858 | 9 | ||
19 | 9 | マゼピン | ハース | 1:19.303 | 9 | ||
20 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 1:20.873 | 3 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 21℃ |
路面温度 | 44.9℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1メキシコGP |
---|---|
セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | エルマノス・ロドリゲス・サーキット |
---|---|
設立 | 1962年 |
全長 | 4304m |
コーナー数 | 16 |
周回方向 | 時計回り |