フェルスタッペンとペレスの計測が「ツノダされた」と批判するレッドブル、角田裕毅は反論するも話し合いが「心配」
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、角田裕毅が「クルージング」していたせいで、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの予選Q3の最終ラップが台無しになったと考えている。
高地でアドバンテージを持つホンダF1パワーユニットを搭載するミルトンキーンズのチームは週末を通して優勢を見せていたが、肝心の予選では各セッション共に一度もトップタイムを記録できず、マックス・フェルスタッペンが3番手、セルジオ・ペレスが4番手と失意の結果に終わった。
後退強いられたフェルスタッペン
Q3の最終ラップでは、ペレスのコーフオフに後続のフェルスタッペンが後退を余儀なくされる場面があったが、ペレスの前を走行していたのは角田裕毅だった。
角田裕毅はチームメイトのピエール・ガスリーをホームストレートで牽引した後に先行させ、その後はエンジニアのマッティア・スピーニの指示に従い残りのラップを走行していた。
そして「4秒後ろにペレスがいる。プッシュしている」との無線での状況報告に従い、ペレスの走行を妨害しないよう、落ち着いてコース外に逃れ道を譲った。その際、路面が汚れすぎていたために砂埃が舞ったわけだが、不運にもペレスはその直後にコースオフを喫した。
前方で2台がコースアウトしていた事から、フェルスタッペンは黄旗が振られると判断してアクセルを緩めた。ポールポジションを奪われた2019年の嫌な思い出が脳裏を横切ったためだった。結果、イエローフラッグが振られる事はなく、フェルスタッペンは自己ベストを改善できずメルセデスの前に敗北した。
予期せぬアクシデントにフェルスタッペンは無線を通して「信じられない。なんて間抜けなバカなんだ」とフラストレーションを漏らした。
一件の直後に「僕には何もできなかった」とチーム無線で訴えた角田裕毅に対し、エンジニアのマッティア・スピーニは「分かってる。君は彼にスペースを与えた。何も出来る事はなかった。分かってる」と返した。
角田裕毅に非があるとホーナー
ペレスは「気が散ったわけじゃなく接近し過ぎたためにブレーキを掛けざるを得ず、ダウンフォースが失われ大量のダーティーエアーを浴びる事になった」と説明しつつ「イラッとしたよ。Q3であそこにいるべきじゃない。でもしょうがない。それが現実だ」と角田裕毅を非難した。
クリスチャン・ホーナーはSky Sportsとのインタビューの中で一件について問われると、”tsunoda”なる造語を作り上げ「我々はツノダされてしまったようだ」と語った。
「2人のドライバーは最終ラップでペースを上げていた。マックスはコンマ2.5秒、チェコはコンマ2秒弱アップしていたと思うが、私は彼がサーキットのあの場所で何故クルージングしていたのか理解できない」
「2人共が影響を受けたわけだからガッカリさ。2人ともかなり苛立っているようだ」
レッドブルとの話し合いを”心配”する角田裕毅
角田裕毅にとっては瓢箪から駒が出た思いだったのだろう。
The Raceによると角田裕毅はペレスのラップを「メチャクチャにしてはいない」として「彼自身が単にミスを犯しただけです」「出来ることは他に何もありませんでした」と反論した。
そもそも角田裕毅はフェルスタッペンのラップに影響を与えたとは思ってもみなかった。
「僕はコースの外に出たわけで、あれ以上出来る事はありませんでした。一体どこに行けば良いと言うのでしょうか?」
「セクター2に入った際に(ペレスとのギャップを知らせる)カウントダウンは聞こえていたけど、もう一度同じ状況に遭遇しても僕は同じことをしたと思います」
「彼らが僕に何を期待していたのか分かりません」
「僕が間違ったことをしたのかどうかについて、レッドブルと話し合わなければならないので、今は少し心配です」
ペレスと角田裕毅のオンボード映像を見る限り、全面的に非難されるような落ち度はなかったように思われる。
それは単に不運なタイミングで発生した不運な出来事の重なりに見える。いずれにせよ、アルファタウリがすぐ擁護の姿勢を示さないのが残念だ。
なお、アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表はレッドブル側の批判に反論し、角田裕毅に非はないとの見解を示して擁護した。
角田裕毅がSNSに投稿した「Nothing I can do more than that…(あれ以上のことはできませんでした)」とのメッセージには、擁護する多数のリプライが寄せられており、その中には「ユーキ、下を見ずに頭を上げるんだ。嫌な事を言うヤツに負けるな」とのメルセデスAMG公式アカウントも見受けられる。
Nothing I can do more than that…
— 角田裕毅/Yuki Tsunoda (@yukitsunoda07) November 6, 2021