2022年F1シートは角田裕毅とセルジオ・ペレス続投が既定路線、とヘルムート・マルコ
ホンダ製F1パワーユニットを搭載するレッドブル及びスクーデリア・アルファタウリの”シリーシーズン”は始まる前に終わりを迎えようとしている。現時点で角田裕毅とセルジオ・ペレスの残留は堅い。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは2022年の両チームのシートについて、現行ラインナップを継続する事が既定路線との考えを示した。
2023年末までの契約を持つピエール・ガスリーに関しては有力な移籍先がなく、またシニアチームへの復帰が「議題に上がっていない」事から、既にファエンツァのチームに留まる事はほぼ確実と見られていたが、他の2人に関してはこれまで特に突っ込んだ言及はなかった。
ドライバー人事権を一手に掌握する78歳のチーム顧問はRTLとのインタビューの中で、新規定が導入される2022年シーズンに向けて「原則として現行ペアを維持したいと考えている」と語った。
ただし、恐らくはホンダとの協力関係並びにペレスの支援者の事と思われるが、様々な状況を「考慮」する必要があるとして最終決定にはまだ時間を要するとも明かした。サマーブレイク明けに最終的な判断が下される見通しだ。
無論、あくまでも基本的な方針として維持するとの事であり計画が変更される可能性も残されているが、パドックの中で最も率直な人物とされるヘルムート・マルコが具体的に言及した事の意味は小さくない。
アルファタウリ・ホンダはガスリーが好調の前シーズンを上回る高い一貫性と競争力を発揮している一方、ルーキーの角田裕毅は予選での相次ぐクラッシュが象徴するように、ある意味典型的なルーキーシーズンを過ごしている。
しかしながらヘルムート・マルコは、角田裕毅がアルファタウリのファクトリーに近いイタリアへと拠点を移した事で「前向きな一歩」を踏み出したとしており、若き日本人ドライバーの将来性を疑っていない。
一方のレッドブル・ホンダは、伝統的に姉妹チームから若手を昇格させるスタイルを取ってきたが、チャンピオンシップ争いに向けたチャンスが増大する中、2021年に向けて慣例を破り外部からベテランを登用するアプローチを採用した。
アレックス・アルボンの後任として今年、レーシングポイント(現アストンマーチン)から移籍したペレスは、チームメイトのマックス・フェルスタッペンに対して予選で大きく遅れる等する部分もあるが、フランスでは表彰台に立ち、アゼルバイジャンでは移籍後初勝利を収めるなど、浮き沈みが激しいながらも徐々に調子を上げてきている。
果たしてペレスは残留に足る成績を収めているのだろうか?
メルセデスが支配的な強さを誇っていた昨年や、不正疑惑が取り沙汰されるまでフェラーリがフィールドを支配していた一昨年と比べて今年はレッドブルの競争力が高いため、ペレスとそれ以前の2人のドライバーを単純比較する事は難しい。
ただし、フェルスタッペンという変わらぬ評価軸を元に振り返ってみると、ペレスは僅かながらもアルボンやガスリーよりチームに貢献していると言えなくもない。
31歳のメキシコ人ドライバーは10戦を終えて、185点を手にしているフェルスタッペンの56%に相当する104点をチームに持ち帰っているが、アルボンはフェルスタッペンをチームメイトとしていた同じスパンで50%、ガスリーは40%の得点に留まっていた。無論、開催地や諸状況が異なるため、この比較すらも完璧とは言えないが、少なくとも1つの指標にはなるだろう。
いずれにせよ僅差のチャンピオンシップを制する事のみを考えれば、落ち着いて目の前のレースに集中できる環境を用意するという意味で、ペレスとの契約更新にサインするのは早ければ早いだけ好ましい。