マクラーレン・テクノロジー・センターに展示されている歴代のF1マシン
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マクラーレンF1、株式売却を検討か…危機直面のウィリアムズに続き

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F1で8度のコンストラクター制覇を成し遂げた名門マクラーレン・グループが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経営危機を乗り切るために、F1チーム株の売却を検討している可能性が浮上した。Sky Newsが英国現地17日(水)に伝えた。マクラーレン側はコメントを拒否しているという。

イギリス政府に申請していた1億5000万ポンド(約196億円)の融資が却下された事を受け、マクラーレンは2億7500万ポンド(約368億円)相当の資金調達を目的として、ウォーキングの本社施設及び歴史的価値を持つクラシックF1マシンの一部を抵当に入れることを検討していると報じられていた。早ければ来週にも合意の可能性があると伝えられているが、これだけで生き抜くことは難しいようだ。

報道によると、マクラーレンは既存の債権者からの新たな資金調達を含む様々な選択肢の1つとして、F1事業を営むマクラーレン・レーシングの株式売却を検討しており、全株式の20~30%、額にして数千万ポンド(約13億円~130億円)規模の取引が成立する可能性があるという。ただしウィリアムズとは異なり、現時点ではまだ、正式な売却プロセスは開始されていないようだ。

マクラーレンと同じく新型肺炎による財務危機に直面しているウィリアムズは先月末、チーム売却のための正式な手続きを開始した。こちらは戦略策定支援および利害関係者との窓口役として、投資銀行の「アレン・アンド・カンパニー」と機関投資家向けの投資支援を行う「ラザード」を共同ファイナンシャル・アドバイザーに任命している。

グループ全体の約半分の売上を稼ぎ出すマクラーレン・オートモーティブは今年4月、同社初のオープンコクピット2シーターとして142万5000ポンド(約1億9000万円)での発売をアナウンスしていた「エルヴァ」の限定台数を、当初の399台から249台に引き下げた。オーダー数が伸び悩んだ事への対処と見られており、マーケットの冷え込みによる先行きへの不安が強まっていた。

状況の悪化を受けてマクラーレンは、ランニングコストを抑えるべく、スポーツカーの製造販売を手掛けるオートモーティブ、応用技術のアプライド、そしてレースを統括するレーシングの各部門全体で計1200人の従業員を削減する大規模なリストラ策を発表した。これは全従業員の4分の1以上に相当する。

株式売却による資金調達を検討しているという事はすなわち、既存株主に更なる出資を断られた可能性があるという事を意味している。マクラーレンは今年3月に既に、筆頭株主でありバーレーン政府系ファンドのムムタラカット・ホールディングスから株主割当増資を通して3億ポンド(約387億8,500万円)を調達している。

楽観的な材料もある。F1は来シーズンより年間の上限予算を定めた新たなフィナンシャル・レギュレーションを導入する予定で、青天井であった従来とは異なり、初年度は1億4500万ドル、2022年は1億4000万ドル、そして2023~2025年は1億3500万ドルに制限される。Sky Newsは匿名の関係者からの情報として、契約がまとまれば、ザク・ブラウンCEOが掲げる数年内のタイトル争い復帰のための十分な資金が得られるはずと伝えている。