レッドブル、ホンダF1との”ハネムーン”を総括「ルノーの時とは全く異なる関係、ホンダは約束を守ってくれる」
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は2019年シーズンを総括して、ホンダとの関係は「真のパートナーシップ」であり、13年に渡って続いたルノーとのそれとは全くの別物だと強調した。
タッグを組んで挑んだ初めてのシーズンは、レッドブル・ホンダにとって”過渡期の一年”だった。以前搭載していたルノー製パワーユニットとは構成が全く異なるため、2019年型のRB15は少なからず妥協を強いられたシャシーであり、開幕以前から厳しい一年となる事が予想されていた。
車体側がコケた一方で、エンジンパワーで挽回
空力関連のレギュレーションが変更された事もマイナスに働いた。RB15はシーズン序盤、メルセデスやフェラーリの眼中に入ることすらままならない状況が続いたが、クリスチャン・ホーナーは、RB15がグリッド上で最速マシンでない事を認めつつも、移行期のシーズンとしてみれば、上手く対処できたと感じている。
「フロントウィングとタイヤに関するレギュレーションが変更された事で、我々はライバルよりも多くの影響を受けたように思う」とクリスチャン・ホーナー。「だがその一方で、エンジンパワーという点ではライバルに追いついていった」
「オーストリアGP以降の我々は規約による影響を克服した。その表れと言えるだろうが、シーズン後半には非常に高い競争力を発揮し、ドライバー及びコンストラクター選手権の両方において3位を確保した」
「また、戦略面でも鋭く勇敢な決断を下し、ピットクルーのおかげで記録的な時間でタイヤ交換を終えてクルマをコースへと送り出す事もできた」
© Getty Images / Red Bull Content Pool、シルバーストン・サーキットでシェイクダウンを行うRB15
難しい状況の中で結果を残す事が出来たのは、名実ともにエースドライバーとして成長したマックス・フェルスタッペンの存在も見過ごせない。クリスチャン・ホーナーは「マックスはチームリーダーという責任を負い、今や非常に完成されたパッケージになっていると思う」と説明する。
「彼は今シーズン、いくつかのレースで驚異的なドライブを披露したし、わずか22歳という年齢にも関わらず、既に100戦以上に出走している。つまりは、今の彼は知識データと経験の両方においてレベルを上げているという事だ」
ホンダとのハネムーンに満足するホーナー
レッドブルは、”F1史上最も成功したパートナーシップ”を解消して、ホンダとの関係を築く事を選んだ。ルノー・スポールとレッドブルは、2007年にその関係をスタートさせて以降、優勝59回、ポールポジション60回、ファステストラップ60回を記録し、計4277.5ポイントを獲得。セバスチャン・ベッテルと共に、4度のコンストラクターズとドライバーズタイトルを手にした。
歴史に名を残す大成功を収めた12年に及ぶ関係に終止符を打ち、「博打」とまで揶揄された日本のエンジンメーカーとの関係を選んだレッドブルだが、蓋を開ければホンダとのパートナーシップは極めてポジティブに進展し、先日、ライバルチームに先駆けて、2021年までの契約更新をいち早く発表した。
クリスチャン・ホーナーは「今年は様々な種類のサーキットにおいて速さのあるマシンを手にすることが出来た」と語り、「ポジティブなリザルトの背景にはホンダとの進展があり、また、燃料パートナーであるエクソン・モービルとの共同開発による相乗効果があった」と説明する。
「ホンダがチームの母国オーストリアでのホームレースで初優勝を挙げた事は、関係者全員に驚くほどの感動を与えてくれた。ホンダはこれを達成するために必死に努力を重ねてきた」
「彼らはハイブリッド時代のF1に復帰する際して厳しいシーズンを過ごしてきたが、我々は彼らが献身的に仕事に取り組む姿を目の当たりにしてきた。それは初勝利に相応しいものだった」
© Getty Images / Red Bull Content Pool、復帰後初優勝を抱き合って喜ぶ山本雅史ホンダF1マネージングディレクター、F1オーストリアGPにて
ルノーとレッドブルの関係が修復不可能なまでに悪化し、互いに顔も見たくないと思っているのは周知の事実だが、クリスチャン・ホーナーは、ホンダと末永く仕事を続けていきたいと願っている。
「ホンダは提携初年度の今年、約束していたものを達成してくれたが、彼らは今後も末永く約束を守り続けてくれるだろう。これは(ルノーとは)異なるタイプのパートナーシップであり、これこそが真のパートナーシップなのだ」
「どういう事か? それはホンダが結果を出したときに理解できるはずだ。つまり、感情やプライド、そしてビジネス全体を通しての満足感なのだ」