壊れたマシンを必死に押すハミルトン「あんなルイスは見たことない。心配だ」と旧友ロズベルグ
カート時代からルイス・ハミルトンと競い合ってきた2016年のF1ワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグは、F1ドイツGP予選でハミルトンが見せた振る舞いに対して「あんなルイスは見たことない」と述べ、旧友を心配した。
ホッケンハイムリンクでのQ1セッションの最終盤、チェッカーが振られた後のコース上でハミルトンのマシンがストップ。ハイドロリークによってギアボックスがトラブルに陥った。諦めきれないハミルトンは急ぎクルマから降り、ピットに押し戻そうと必死にマシンを押した。
だが、その懸命の努力が実ることはなく、ハミルトンは予選続行を断念しコース脇にマシンを止めた。膝をつき力なくうなだれたハミルトンは、暫くの間マシンの脇から一歩も動くことなく座り込んだ。この日のハミルトンは、体調不良を訴えFP3の大部分をモーターホームで過ごしていた。
英Sky Sportsで解説を務めていたロズベルグはこのシーンを目の当たりにし「彼がこんなボディーランゲージを見せたのを僕はこれまでに見たことがない。ちょっと心配だ」と驚いた。
ハミルトンは前戦イギリスGPのオープニングラップで、フェラーリのキミ・ライコネンと接触し隊列の後方遠くに後退。W09のパフォーマンス最大限に引き出し2位でチェッカーをくぐったものの、誰よりも強い思いで臨んだ母国レースでの1周目の悲劇に、感情をあらわにする様子を見せていた。
「ルイスにとって厳しい事態なのは間違いないけど、こんな振る舞いをするなんて。ルイスのこんな姿は今まで一度も見たことがないよ」
「ポールを手にしたのはベッテルで、フェラーリのマシンは圧倒的だった。レースの優勝候補はベッテルだ。おまけにルイスは後方からのスタートになるわけで大打撃だよ。明日の決勝は彼にとって相当厳しい一日になるだろうね」
トラブルが発覚した後、チームはパワーユニットへの影響を懸念し再三に渡ってハミルトンにマシンを止めるよう指示。だが、ハミルトンは中々これを聞き入れず走行を続けようとしていた。その理由についてハミルトンは次のように語っている。
「指示されても止めなかった理由は簡単さ。あれは予選の最中でマシンはまだ動いていた。ピットに戻れる事を心底祈ったよ。もし戻れたらチームの皆が直してくれるって信じてたから」
「僕は決して諦めたりはしない。だからマシンを戻せず本当に辛かった。クレイジーだと思われるかもしれないけど、エンジンを切った後も、押せば何とか戻れるんじゃないかって考えたんだ。たぶん感情的になってたんだと思う」
チャンピオンシップ8点ビハインドのハミルトンは、日曜の決勝を14番グリッドからスタートする。