フォーミュラE、来季投入の第二世代マシンの姿が明らかに!画像と動画でレビュー
EVモータースポーツの世界最高峰フォーミュラEは31日、第5シーズンとなる2018/2019シーズンに投入される第2世代マシンのデジタルCG画像を公開した。今季F1に続いて、来季フォーミュラEにもコックピット保護デバイス”ハロ”が導入されるが、大きな違和感のないスタイリッシュな外観に仕上がっている。
2014年に始まったFIA公認の電気自動車レースであるフォーミュラEは、化石燃料を一切使用しないエンジン音及び排気ガスがゼロの未来志向型のモータースポーツだ。そのキーコンセプトを前面に打ち出すべく、F1をはじめとする既存のモータースポーツとの差別化を推進、市街地コースを戦場とし、マシン造形には”奇抜さ”が宿る。
既存のシングルシーターとの差別化を強く意識させるそのデザインは、WECプロトタイプマシンと今季のインディカーマシンを足して2で割ったような印象を与える。特徴的なのはフロントウイングからバージボードへと連なるタイヤカバー。カバー周りの造形が多少うるさい気もするが、全体としては”近未来”を志向・標榜するコンセプトに沿うまとまったルックスとなっている。
飛行機の羽根を彷彿とされるセパレート・リアウイングも特徴的だ。リアウイングの両端はリアのタイヤカバーと連結しており、一連の流れを演出している。リアからフロントへと繋がるブルーラインのカラーリングによる錯覚かもしれないが、CG画像で見る限りウイングとハロが一体化しているように見て取れる。リアの大きくせり上がった巨大なディフューザーも圧巻。
この新型車は、FIA国際自動車連盟が著名デザイナーとエンジニアを招集し、キーコンセプトから設計までを手掛けた最初のモデルとなる。FIA会長を務めるジャン・トッドは、連盟の新しい試みを評価している。
「今日我々は、次世代マシンのデザインを初めて公開した」とトッド。「その先進性と未来志向に多くの人々がエキサイトだろうと確信している。FIAがこの車の開発の陣頭指揮を取った事を誇らしく思っている。FIAにとっては初めての試みであり、プロジェクトは順調に進んでいる」
フォーミュラEのアレハンドロ・アガクCEOは、フォーミュラE第二世代マシンは、旧来のモータースポーツ界の慣習を打ち破る革新的なものだと主張する。
「このクルマはレースの未来を体現している。フォーミュラEをスタートさせた時、我々は、現状に挑戦し慣習を破りモータースポーツに革命を起こすを目標として定めた。この次世代マシンはその革命の表れだ。マシンはより速くなるし、バッテリーもほぼ倍の性能となる」
第二世代マシンは、マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ社がバッテリー製造を担当。エネルギー貯蔵能力と走行可能距離が倍増するため、チームとドライバーは、レース中にマシンの乗り換えを行うことなく規定周回数を走破できるようになる。だが、戦略の幅が狭まることへの懸念もあり、乗り換え廃止には慎重論も出ている。
アウディ、BMW、メルセデス、ポルシェ、そして日本の日産自動車…新型マシンが投入される来シーズン以降、フォーミュラEには世界各国の大手自動車メーカーが続々と参戦する。排ガス規制の流れが大きなうねりとなりつつある欧州を中心にその注目度は高まっており、フォーミュラEの躍進は、EV化にシフトしつつある自動車産業界を反映している。
新型フォーミュラEカーの実車は、3月6日に行われるジュネーブ・モーターショーで公開される予定となっている。