CFD

  • Updated:
  • Googleで優先するソースとして追加する

CFD(英:Computational Fluid Dynamics)、すなわち数値流体力学とは、コンピューター上で空気の流れを計算し、可視化・解析する技術を指す。F1においてCFDは、風洞と並ぶ、空力開発の中核を担う手法だ。

F1の風洞試験では、最大60%サイズのモデルに風を当て、力や圧力を測定する。一方CFDでは、マシン形状を三次元データとして再現し、コンピューターの中で仮想的に風を流す。風洞が「実験室」だとすれば、CFDは「仮想実験場」だ。

風洞にはないCFDの利点

CFDの最大の利点は、空気の流れや圧力分布を“見える形”で理解できることにある。どこで流れが剥離しているのか、どの部分が抵抗を生んでいるのか、数値だけでなく色や線で直感的に把握できる。

また、CFDは風洞に比べて以下の点で優位性を持つ。

  • 大規模な施設を必要としない
  • 実験条件(車高、姿勢、風向きなど)を瞬時に切り替えられる
  • 複雑なレース条件の変化を短時間で比較できる

F1の元チーフ・テクニカル・オフィサーであるパット・シモンズによれば、風洞の運用にはインフラ関連の費用以外に年間100万ドル以上の電気代がかかるという。CFDは、これと比べてランニングコストを大幅に抑えつつ、設計の試行錯誤を高速化できる。

それでもCFDだけでは足りない理由

一方で、CFDは万能ではない。現実のレース環境はあまりに複雑であり、CFDが扱うのはあくまでその「近似」であるためだ。

路面の微妙な凹凸、乱流、タイヤ変形、実走行中の振動など、完全再現が難しい要素は多い。そのためF1では、CFDと風洞を併用し、互いの弱点を補い合うことが前提となっている。

CFDで仮説を立て、風洞で検証し、実走テストで効果を確認し、再びCFDにフィードバックする――これが、現代F1における空力開発の基本サイクルだ。

規則で制限されるCFDによる空力開発

CFDによる空力開発は、F1レギュレーションにおいて「制限付きCFD(RCFD)」として厳しく制限されている。その最大の特徴は、「MAUh(メガ・アロケーション・ユニット・アワー)」という指標にある。

これは「CPUコア数 × 動作クロック × 実計算時間」を基準としたものであり、利用可能なMAUhは、コンストラクターズ選手権順位に応じて変化する。詳しくは、空力テスト制限(ATR)を参照されたい。

CFD成果の検証方法

CFDや風洞を通して開発された空力パーツの性能は、最終的にリアルなサーキットで検証される。その際に使われる代表的なデバイスが、次のようなものだ。