フロービズが塗られたアルファタウリ「AT04」をドライブするニック・デ・フリース、2023年2月23日F1プレシーズンテスト
Courtesy Of Red Bull Content Pool

フロービズ

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フロービス(英:Flow Visualization Paint / Flow Viz)とはフロー・ビジュアル・ペイントの略語で、レーシングマシン表面の空気の流れをチェックするために使用する色の付いた液体のことを差す。

かねてより空洞実験などにおいて使用されていたものを、2010年にマクラーレンが初めてコース上で使用。翌年にはルノー、ロータス、レッドブルそしてフェラーリがトラックテストにおいて使い出した。

ビームウイングとディフューザーにフロービズを塗って鈴鹿サーキットを周回するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年9月21日F1日本GPフリー走行Courtesy Of Red Bull Content Pool

ビームウイングとディフューザーにフロービズを塗って鈴鹿サーキットを周回するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年9月21日F1日本GPフリー走行

実地での空力測定

チームはエアロダイナミクスパーツの制作において、実物を制作する前に空洞実験でその効果を徹底検証するが、施設内の限られた条件下での成果がそのまま実際のトラック上で再現されるとは限らない。

そのため、パーツ制作後に実際にそのパーツをマシンに装着し走らせてみる事で、事前シミュレーション通りに機能しているかどうかを確認する必要がある。いわゆる”相関を取る”という作業だ。

しかしながら、コンピューターグラフィックによって空気の流れが可視化される風洞実験と異なり、超能力者を除いては現実世界で空気の流れを肉眼で見ることはできない。そこでフロービジュアルペイントが役に立ってくるわけである。

赤色のフロービズが塗られたウィリアムズ「FW46」をドライブするアレックス・アルボン、2024年2月21日F1プレシーズンテスト初日バーレーン・インターナショナル・サーキットCourtesy Of Williams

赤色のフロービズが塗られたウィリアムズ「FW46」をドライブするアレックス・アルボン、2024年2月21日F1プレシーズンテスト初日バーレーン・インターナショナル・サーキット

シーズンテストや各グランプリのフリー走行などにおいて、新投入あるいは開発中のエアロパーツの空力確認のためにフロービズが用いられる。

色は様々。グリーンをはじめとして、青色や白色など、各マシンのカラーリングにおいて目立つ色を使用する。チームによっては他チームの目を気にしてブラックライトで光る発光塗料や蓄光塗料を用いるところもある。

フロービズはパラフィンをベースとした揮発性の液体か、ゲル化しない特性を持ったオイルに色素を混ぜ込んで作られる。

使用の際は、スプレーあるいはブラシでマシン表面に塗布。揮発性が高いため走行する事で液体のみが揮発し、残った塗料が車体表面の空気の流れを描いて固まる。以下の動画では、フェラーリの風洞実験で使用されているフロービジュアルペイントの様子が確認できる。

フロービズと同じように、マシンに対する空気の影響を計るデバイスにはエアロレイクピトー管などがある。