T-ウイング
T-ウイングとは、リヤウイングの前方に装着された”T字型”の小型ウイングのこと。別名コートハンガーとも言う。
F1マシンは2017年の大規模規定変更によりワイド&ローなフォルムを身にまとうことになり、この結果リアウイングには大きな乱流が発生することになった。気流の乱れはマシンの乱れ、チームはこの問題への解決策の一つとしてTウィングを生み出した。つまり、Tウイングとはダウンフォースを直接的に増加させるような種類のものではなく、気流制御のためのエアロパーツなのである。
バルセロナでのプレシーズンテスト1で、メルセデス・フェラーリを初めとして各車がTウィングを持ち込みテストを実施。フェラーリの場合にはシャークフィンにT-ウィングを合体させたような独特な形状のパーツを披露した。
Tウイングvsシャークフィン
ワイド&ロー化による乱流対策には、T-ウィングの他にシャークフィンがある。
シャークフィンは垂直方向、Tウィングは水平方向に伸びるエアロパーツであることを考えると、各々が制御できる気流の向きは対照的なのではないかと推察される。マシンフロント側の形状によっては、発生する乱流の方向が異なる可能性がある。水平及び垂直の両方向に対して気流を制御する必要があるのであれば、フェラーリの様なT型シャークフィンというのも一つの手なのだろう。
僅か1年で寿命を終えるTウイング
Tウイング誕生から数ヶ月後の2017年4月25日、FIAはシャークフィンとT-ウイングの禁止を正式に決定した。FIAはこれら2つのデバイスを禁止すべく、2018年のエンジンカバー周りの技術規定を修正、禁止の理由は”見た目の悪さ”と”ファンからの不評”だと言う。