同時代を牽引してきた戦友の7冠を真っ先に祝福したベッテル、涙するハミルトンに掛けた言葉とは?

2020年F1トルコGPで優勝し7度目のタイトルを獲得したルイス・ハミルトンにシャンパンを掛けて祝福するセバスチャン・ベッテルcopyright Pirelli & C. S.p.A.

7度目のF1ワールドチャンピオンに輝いたメルセデスのルイス・ハミルトンを真っ先に祝福したのは、同時代を戦い抜いてきた戦友、フェラーリのセバスチャン・ベッテルであった。

33歳のドイツ人ドライバーは2007年にBMWザウバーでデビュー。対する35歳のイギリス人ドライバーも同じ年に、マクラーレンからF1デビューを飾った。その後の14シーズンの間に両者が世界タイトルを獲得した数は合わせて11に上る。2010年代のF1を牽引してきたのはこの二人だった。

9年ぶりの復活を遂げたトルコGPで6番グリッドからの劇的勝利で7つ目の勝ち星を手にしたハミルトンは、ピットへと戻る際のラップで様々な想いが溢れ出てしまい思わず涙していた。

「自分の感情をコントロールできなくなることはめったにないんだけど、、フィニッシュラインを駆け抜けた時、ただただ涙が溢れ出したんだ。(自分が7冠を達成したという事実が)信じられなくて、クルマから降りる事ができなかった」とハミルトン。

​「泣いている姿を見られてしまうからバイザーを上げたくなかったんだ。前に他のドライバーが泣いているのを見て『僕はそんな事するもんか』って思った事があってね。でも、多すぎる程の涙が流れ出てしまった」


© Daimler AG

11番グリッドから見事3位フィニッシュを果たし、今季初の表彰台に上がった4度のF1ワールドチャンピオンは、パルクフェルメのW11の中で感傷に浸るハミルトンと固く手を取り合い、そして声を掛けた。一体どんなメッセージを伝えたのだろうか?

ベッテルは「僕らにとって本当にスペシャルな事だよねって伝えたんだ」と明かした。「新たな歴史が誕生した瞬間を目の当たりにできたわけだから」

史上最多タイとなる7度目のタイトル獲得によってハミルトンはこの日、ベッテルにとっての幼少期からのヒーローであり続けるミハエル・シューマッハと肩を並べる事になった。

ハミルトンを史上最も偉大なドライバーだと思うか?と問われたベッテルは「間違いなくこの時代における最も偉大なドライバーだと思うよ​」と答えた。

「僕はファン・マヌエル・ファンジオやスターリング・モスといったドライバーと僕らの世代とを比較するのは難しいと思ってる。比べることはできない。そもそも乗っているマシンが全く違うのだから。(世代を越えてどちらが偉大かという問いは)誰にも分からない事だと思う」

「でも、そんな事は問題じゃない。どの時代にも”その時代のドライバー”がいるものだ。ルイスは間違いなく僕らの時代における最も強大で偉大な存在だと思う」

「確かに感情的に言えば、僕にとっての最も偉大なドライバーは今後も変わらずミハエル(シューマッハ)であり続けると思う。でも、成し遂げた事という点においてルイスが最も偉大である事は間違いない」

ベッテルはハミルトンが偉大である理由を”数字”で指摘するだけでなく、この日のレース内容そのものが証明なのだと主張する。

ほんの僅かでもラインを外せばたちまちコントロールを失ってしまう路面状況の中、6番グリッドのハミルトンは一切のミスなく着実に前へと進み続け、訪れたチャンスを決して逃さずにモノにした。

「ルイスが勝ち取ったタイトルの数はミハエルと並び、その上、彼よりも多くのレースで勝利し、より多くのポールポジションを獲得してきた」とベッテル。

「今日のレースが何よりの証拠だと思う。正直に言うと、多分今日は彼が勝つレースではなかったと思うけど、コース上に留まるのすら本当に難しい2時間に渡る戦いの中、それでも彼は勝利を掴み、またしても特別な何かを引き出してみせた。彼は彼が達成してきた事の全てに値する。僕はそう思ってる」


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