テレビ取材に応じるメルセデスのトト・ウォルフ代表、2021年F1イギリスGP
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ウォルフ夫妻、法的措置を検討 徹底追求の構え「上層部には…」FIAを非難し変革を要求するハミルトン

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自身と妻スージーに対する調査を打ち切ったとの国際自動車連盟(FIA)による発表を受け、メルセデスF1チームを率いるトト・ウォルフ代表は法的措置を検討している事を明らかにした。

トト・ウォルフはFIA表彰式が行われた12月8日(金)、声明を通して「完全なる透明性」を求めてFIAとの間で「法的なやり取り」を交わしていると述べ、「必ずやこの問題に対処するつもりだ」と付け加えた。

これに先立っては同日、F1アカデミーのマネージング・ディレクターを務める妻スージーが「根拠のないプレスリリース」によって名誉が毀損されたなどとして、FIAに対する非難を繰り返した。

FIAについてスージー・ウォルフは、未だ一度も直接、自身にコンタクトしてきておらず、「透明性はなく説明責任も果たされていない」と主張。仕事や家族に関して「ネット上で誹謗中傷に晒されている」として、「誰が一件を扇動し、メディアを欺いたのかを突き止めるまで追求していくつもりです」と付け加えた。

また「私個人の信用を失墜させようとして失敗した試みの標的になった」か、あるいは「誰かを攻撃しようとして失敗した試みの巻き添えを食らった」かのどちらかだとも主張した。

メルセデスF1チームに所属する7度のF1王者、ルイス・ハミルトンもまた、根拠のない疑惑に世間の注目を集め、スージー・ウォルフの人柄に疑問を投げかけたとしてFIAを批判した。

英紙「ガーディアン」によるとバクーでのFIA表彰式を前にハミルトンは、「僕らのスポーツにおいて最も素晴らしい女性指導者の一人に対して、何の疑問も持たず、何の証拠も示さずにその誠実さに疑問を投げかけた」として、FIAのアプローチは「到底容認できない」と語った。

「この業界ではダイバーシティとインクルージョンを改善するための戦いが絶え間なく行われているけど、僕らが一歩前進しようとする度に、引き戻そうとしている人物がFIAの上層部にいるように思う。これは変わらなければならない」

ウォルフ夫妻の間で機密情報の受け渡しがあり、ライバルチームの代表が苦情を申し立てたとの疑惑に関する報道を経てFIAは12月5日(火)、コンプライアンス部門による調査を開始したと発表した。

調査を主導したのはFIA会長を務めるモハメド・ベン・スレイエムとの見方がある。

FIAは個人名を一切明らかにしなかったが、メルセデスはトト・ウォルフに対する中傷であると非難し、スージー・ウォルフは「威圧的かつ女性蔑視的」と猛反発した。F1もまた「実体のない軽率で重大な主張」であるとの声明を発表した。

ライバル全9チームが苦情を申し立てていないとする声明を発表した翌7日(木)、FIAは調査の打ち切りを発表した。これまでのところ、調査へと至った詳しい経緯やウォルフ夫妻への言及はない。