ウォルフ、「割れたガラス」の代償を”悪玉”に警告。F1復帰を目指すホーナーへの複雑な感情

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メルセデスのチーム代表トト・ウォルフが、レッドブルの前チーム代表クリスチャン・ホーナーのF1復帰を妨げようとしているとの憶測を否定した。その一方で、ホーナーは「あまりにも多くのガラスを割ってきた」と述べ、過去の振る舞いがF1復帰に影を落とす可能性があるとの認識ものぞかせた。

否定と牽制が混在する言葉の奥に、単純な対立では語れない二人の複雑な関係が透けて見える。

アルピーヌ株を巡る「でっち上げ」

昨年7月にレッドブルのチーム代表兼CEOの座を追われたホーナーは、F1への復帰に意欲を見せている。本人は、このスポーツに「やり残した仕事」があると考えているという。

そうした中、投資会社オトロ・キャピタルが保有するアルピーヌ株24%の取得にホーナーが関心を示していることが明らかになった。

さらに、その同じ案件にメルセデス側も関心を寄せている事が発覚したことで、ウォルフがホーナーのF1復帰を妨害しようとしているのでは、との観測が広がった。だが、ウォルフはイギリスの通信社「PA」に対して明確に否定した。

「クリスチャンとは何の関係もない。アルピーヌの株式取得を巡って、クリスチャンと私の間にライバル関係があるというのはでっち上げだ」とした上で、「我々はさまざまな角度から検討しているが、まだ結論には至っていない。本当に意味のある投資なのかを見極めたい」と説明した。

ホーナー側は、復帰にあたって雇われの身ではなく、「パートナーとして関わりたい」と明言しており、一定の所有権や経営関与を伴う形を志向している。

「最悪の敵にも良さがある」——敬意と不信の間で

ウォルフは、復帰を妨害するつもりはないとしつつも、ホーナーは過去の言動の結果から無縁ではいられないとの見方を示す。

「彼はこれまで、あまりにも多くのガラスを割ってきた。我々のこの小さな世界では、こうした言動は跳ね返ってくるものだ。だが、それが彼が人生でやってきたことであり、最も得意とすることだ」

一方で距離感については明確だ。「彼がいつか盟友になり得るか、あるいは目的を共有する相手になり得るかと考えるか? そうは思わない」と断言しつつ、一定の敬意ものぞかせた。

「彼に対して強烈な不満と怒りを感じた時でさえ、自分にこう言い聞かせるべきなんだ。最悪の敵にも親友はいるのだ、何らかの良さがあるはずだ、とね」

「互いに評価すべき点は評価しなければならない。彼と同じだけのことを成し遂げたチーム代表は、そう多くはない」

「善玉と見苦しい存在」だけになったF1

ウォルフとホーナーは、この10年余りのF1を象徴する二人だった。2021年にルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが王座を争った歴史的なシーズンには、両者の激しい対立も大きな見どころとなった。

フェルスタッペンはその年に自身初のチャンピオンに輝き、その後、4連覇を達成。ホーナーはフェルスタッペンが5連覇を目指した2025年シーズン途中に逆風の中でレッドブルを去った。

ウォルフは、パドックを去ったホーナーを巡り、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールと交わした会話の内容を明かした。

「私はフレッドに、こう言ったんだ。『F1には善玉、悪玉、見苦しい存在が必要だ。そして今、残っているのは、善玉と見苦しい存在だけだ。悪玉はいなくなった』とね」

ウォルフはまた、ホーナーがF1に復帰しようがしまいが「私はどちらでも構わない」とも語った。「彼に悪いことが起きてほしいとはまったく思っていない」と言い添えて。