解任劇から半年…沈黙を破るクリスチャン・ホーナー、F1復帰へ「やり残した仕事がある」

  • Published:
  • Googleで優先するソースとして追加する

クリスチャン・ホーナーが、アイルランドの首都ダブリンで開催された欧州モーターショーに姿を現し、2025年7月にレッドブル・レーシングを解任されて以来初めて、F1への未練と復帰条件について公の場で語った。

ホーナーは約20年にわたりレッドブルのチーム代表兼CEOを務め、8度のドライバーズタイトルと6度のコンストラクターズタイトルをもたらした稀代のリーダーだ。だが、女性従業員への「不適切な振る舞い」という深刻な疑惑をきっかけに、長年築き上げてきた地位を追われることとなった。

ホーナー自身は一貫してこの疑惑を否定しており、レッドブルGmbHによる二度の調査でも潔白と判断されている。今回の発言は、9月に正式な離脱が決定して以来、彼がどのような思いでパドックを見つめてきたのかを示す貴重な機会となった。

F1復帰のシナリオ「環境」へのこだわり

イギリスの通信社「PA」によると、ホーナーは自身の現状について、「F1でやり残した仕事があると感じている」と明かした。また、「F1が恋しいし、人々も、そして自分が築いたチームも恋しい」と語り、自らが望んだ形での幕引きではなかったことを強調した。

一方で、復帰に向けては非常に高い基準を設けている。すでに数々の成功と名誉を手にしているホーナーは、単にパドックへ戻るつもりはないとし、勝利を目指せる環境、そして同じ志を持つ人々との共闘が不可欠であるとの考えを示した。

「復帰する必要があるわけじゃない。今ここでキャリアを終えることもできる。だからこそ、戻るとすれば、素晴らしい人々とともに、勝ちたいという意志を共有できる環境で働ける、正しい機会がある場合に限られる」とホーナーは語る。

さらに、「単なる雇われではなく、パートナーとして関わりたい。ただ、どう展開するかはこれからだ。急いではいないし、何かをしなければならないわけでもないからね」とも付け加えた。

スプリントでのチャンピオン獲得後に写真を撮るレッドブルのマックス・フェルスタッペンとクリスチャン・ホーナー、2023年10月7日(土) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スプリントでのチャンピオン獲得後に写真を撮るレッドブルのマックス・フェルスタッペンとクリスチャン・ホーナー、2023年10月7日(土) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

ホーナーは現在、アルピーヌへの出資に関心を示す投資家グループの一員であることが明らかになっており、昨年のコンストラクターズ選手権で最下位に沈んだ同チームを、自身のF1復帰に向けた足がかりとして検討していると見られている。

メディアの喧騒とウォルフへの敬意

レッドブルを離れてから半年強しか経っていないが、ホーナーはF1復帰に関連して、アストンマーティンやフェラーリなど、グリッド上のあらゆるチームとの関連が取り沙汰されてきた。

これに対しホーナーは、「7月8日にレッドブルを離れて以来、誰かに話したのは今回が初めてだ」としたうえで、ガーデニング休暇が終了する「春までは何もできないのが現実だ」と説明した。周囲の関心の高さに戸惑いを示しつつも、多くのチームと名前が結び付けられること自体については「非常に光栄だ」と語った。

メルセデスのトト・ウォルフCEO兼代表とパドックで話すレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表、2024年6月28日(金) F1オーストリアGPスプリント予選前(レッドブル・リンク)Courtesy Of Red Bull Content Pool

メルセデスのトト・ウォルフCEO兼代表とパドックで話すレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表、2024年6月28日(金) F1オーストリアGPスプリント予選前(レッドブル・リンク)

かつての宿敵であるメルセデスのチーム代表トト・ウォルフについても、意外なほど率直な評価を口にした。

両者の間には激しいライバル関係があったが、ホーナーはウォルフの成功と知性を高く評価する。「彼とのライバル関係が大きく取り沙汰されたが、私は彼を本当に尊敬している。驚異的な成功と数多くの勝利を収めてきた非常に聡明な人物だ」

さらに、「我々は単に違う種類の人間であるだけで、同じように競争心が強い。スポーツには、本当の興味を生み出すライバル関係が必要だ。最悪なのは、みんながいい子ちゃんになって馴れ合ってしまうことだ」と続けた。

全員が仲良く振る舞うスポーツは「最悪」だとするホーナーの言葉からは、世界最高峰の舞台で長年に渡ってトップを争ってきた勝負師としての矜持が色濃く滲み出ていた。我々は再び、F1パドックでホーナーの毒舌を目にすることができるのだろうか?